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ヘタリア大帝国

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TURN40 雨の少女その一

                    TURN40  雨の少女
 マレーシアの艦隊の修復状況を港において見ながらだ。東郷は日本とそのマレーシアに対して言うのだった。
「とりあえずベトナムでjの戦いには間に合いそうだな」
「申し訳ありません」
 マレーシアは少し項垂れて東郷に応えた。
「余計な損害を出してしまい」
「何、仕方ないさ」
 東郷は微笑んでマレーシアのその謝罪をよしとした。
「いきなり出て来て二個艦隊だったんだな」
「はい」
「しかもネルソン提督とあちらの祖国さんじゃな」
「敗北もですか」
「むしろこの程度で済ませてくれた」
 マレーシアが艦隊を壊滅させなかったことも評価して言う。
「だからな。気にしないで欲しい」
「有り難うございます」
「それで敵の艦隊編成も見たんだな」
「ネルソン提督の艦隊にはバリア艦がありました」
「そうか。バリアがか」
「それもかなりの性能のものをです」
 マレーシアは東郷にこのことも話した。
「ですから。ビーム攻撃は」
「あまり意味がないな」
「そう思います」
「ああ、それだったらな」
 キャシーがだ。ここで彼等のところに出て来た。
「あたしが行こうかい?」
「ブラッドレイ提督がか」
「ビーム攻撃には自信があるんだよ」
 それでだというのだ。
「大抵のバリアなら貫けるぜ」
「そうなのか」
「どうだい?あたしが行こうかい?」
「いや、君は他の敵に向かってくれ」
 東郷は落ち着いた顔でそのキャシーに答えた。
「敵はネルソン提督だけではないからな」
「じゃあどうするんだよ」
「確かにバリアを貫くのも敵の心理に効果的だがな」
 盾が効かないとなると相手にそれだけ心理的圧迫を加えることになる、東郷はこのこともよくわかっていた。
 だが、だ。ここはだというのだ。
「ここは見せるやり方よりもだ」
「見えないで、っていうんだね」
「そうしよう。君の出番は今度だ」
 戦いは今で終わりではない。それを見ての言葉でもあった。
「それでいいだろうか」
「そうだね。じゃあ敵の司令官を倒すってのはね」
「次だ。それでいいな」
「ああ、花は渡すよ」
 キャシーは明るく笑ってそれでいいとした。そしてだった。
 東郷はエルミーにだ。こう言ったのだった。
「では今度もな」
「はい、わかりました」
「俺もネルソン提督のいる場所に向かう」
「長官ご自身がですか」
「少し。見てみたい」
 東郷は楽しげな微笑みも見せて話す。
「エイリスの騎士提督の戦いをな」
「そうですね。私もです」
 日本もここで言う。
「イギリスさんと手合わせをしてみたいですね」
「海賊退治かい?」
「あっ、イギリスさんはそういえばそうですね」
 日本はキャシーの言葉を聞いてこのことを思い出した。
「かつては海賊でしたね」
「そうだよ。今でこそ紳士ぶってるがね」
「かつては伊勢志摩とも戦い」
「ガメリカだって植民地だったんだよ」
「しかしそこからでしたね」
「あたし達のご先祖様は祖国さんと一緒に戦って独立したんだよ」
 キャシーは自国の歴史を誇らしげに日本に話す。
「輝かしい歴史だね」
「そうですね。ガメリカ共和国の歴史ですね」
「だろ?まああたしは今はこっちにいるけれどね」
 この世界独特のルールでだ。そうなっていることだった。
「国はあくまでガメリカさ」
「だからこそ本日のお昼はあれでしたか」
「ステーキかい?」
「それもティーボーンでしたね」
 キャシーの好物である。
「それを召し上がられていましたか」
「あれがステーキの中で一番美味いんだよ」
「だからですか」
「日本さんにも今度ご馳走するな」
「では私もキャシーさんに今度」
「納豆は止めてくれよ」
 キャシーはこの食べ物については暗い顔で返した。
「あれだけはちょっとね」
「身体にいいですが」
「身体にはよくてもね」
 それでもだというのだ。
 
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