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曇天に哭く修羅

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第二部
  黒い想い

 
前書き
原作通りじゃねーか。
( ゚A゚)

つーかまんまだよね?
(-ω- ?) 

 
代表選抜戦のAブロック決勝。

紫闇の相手は4年生の序列1位。

実を言うと4年生こそ龍帝戦力の穴。

平均の実力は3年生までよりも上だが他学年のように絶対的存在が居ない。


本来なら《矢田狂伯(やだきょうはく)》がその立場に在る筈だったのだが、彼は一年時の学生魔術師による全国大会【全領戦】で団体の部ベスト4に入った後、【刻名館学園】に転校してしまった。


しかし侮ってはならない。

狂伯のように個々の学園で存在する歴代屈指の天才ではなくともそれぞれの世代でそれなりに才能や力が有る人間は居るはずだ。

現在の1位もそうである。


「かなり出来る、わね。あれは……」


エリザが注目する程度に。

レックスも頷いて同意した。


「でもあちらの方が上ですよ」


彼は紫闇を見て確信。

結界に包まれた武台で両者が立つ。

互いに外装を顕現。


紫闇は右前腕に闇色の篭手。

4年の1位は二本の棍棒。


すると紫闇は右手の親指を左手の人差し指に押し当て力を入れ、バキリと鳴らす。

いきなり『あれ』を出した。

紫闇の魔晄防壁が白銀から黒へ。

公式で見せるのは《橘花翔》の時以来。


「確か【神が参る者(イレギュラーワン)】でしたか」

「そうよ。私の父が一度だけ教えてくれた。【上位存在】の【旧支配者/オールドワン】や【古代旧神/エルダーワン】と融合して人の領域を遥かに超えた怪物だと」


エリザの目が鋭くなり体が強張る。

レックスは闘気と殺気を放つ。


4年の1位は開始点から動かない。

その場で棍棒を振った。

すると紫闇の肩に突然の爆発。


「なるほど、そういう【異能】ですか」

「座標に『爆発』という事象を起こす」


どんな位置からでも一定のダメージに予め効果が決まっているゲームのスキル。

それ等に近い。


「極めて強力ね」

「でも立華紫闇には意味が無い」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


紫闇は笑う。

爆発がマッサージにもならない。

一歩ずつ悠然と近付く。


「あの頑強な魔晄(まこう)の防壁は【魔晄外装/ファーストブレイク】とは違う魔晄操作の発展形といったところかしら。異能ではなく単純に魔術師としての基礎能力が強い」


4年の1位は棍棒を振り続けているが紫闇との間が詰まる度に後退した。

しかし武台は結界によって外部と遮断。

ずっとは逃げられない。

壁に背が付いた4年の1位。

目前には紫闇が居る。

追い詰められ恐慌状態に陥った4年の1位は紫闇の体に対して棍棒を叩き込む。

滅多矢鱈に乱打していることで紫闇はどんどん爆発に包まれていくがやはり通じない。

紫闇は失望したのか嘆息。

握られた右拳が金に輝く。

彼が踏み込むと膂力で床が砕けた。

棍棒の滅多打ちを受けている最中でも無視して右腕がUの字を描き顎に拳が刺さる。


爆裂───


拳が帯びた魔晄が弾けた。

黄金の粒子が結界内に飛散。

苛烈な爆発は美しい。

4年生の1位が起こしたそれよりも。


4年の1位は真上に吹き飛ぶと結界の天井に激突し体が押し付けられる。

エネルギーを失ってから落ちてきた。

左手の【古神旧印/エルダーサイン】は光の筋となって紫闇の左手に向かう。

動かない対戦者を見下ろす紫闇。

今の彼には王者の威風が有った。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


「恐ろしいわね……。立華紫闇が繰り出すあの一撃はこの《エリザ・ネバーエンド》が誇る【風の絶対防壁】をも貫きかねない。おまけにまだ切り札を隠している。あの時間停止に等しい力を使われたら……」


彼女がここまで褒めるのは珍しい。


「私が認めた男は三人目よ」


一人目は英国史上最強の魔術師《イリアス・ヴァシレウス・グラディエ》

二人目は過去の最弱から這い上がってきた《レックス・ディヴァイザー》


「昔の哀れな自分によく似ている」


憎らしい程に。

レックスは花道を歩く紫闇を睨む。

どんなことが有っても諦めない。

諦念を拒絶して跳ね除ける。

ただ前へ。

前へ前へ。

ひたすら前へ。

振り返らず進んだ末に運命を超越できると信じているような男が立華紫闇だとレックスには誰よりも理解できてしまう。

幾多の地獄を越えて何度も狂気を高め、立ちはだかる壁を粉砕してきたことが。

正にかつてのレックス。


「気に入らない。本当にね……」


黒い想いを抱くレックス。

そんな彼にエリザが目を細める。

彼が《クリス・ネバーエンド》以外の人間のことで他者に対してこれほど強い反応を見せるのは本当に珍しいことだから。


「心の底から貴方の友として願うわ。立華紫闇がかつてのレックスに戻してくれることを。私が認めた男の一人が帰って来ることを」


現在の英国最強に近い。

そんな域にまで登り詰めた最弱。

諦めとは無縁のかつて。


「彼が私を変える、ですか。むしろこちらが変えてやりますよ。彼の信念は幼子の幻想に過ぎないことを教えてあげましょう」

(思い知ると良いですよ立華紫闇。貴方はその末に絶望を味わうこととなる。かつての私が心を折られた時と同じように)

 
 

 
後書き
もっと変えないとオリキャラの出番無いけど原作キャラの出番も欲しいんですよね。
(;´Д`) 
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