魔道戦記リリカルなのはANSUR~Last codE~
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Last Episode:
Finis autem somnim
Saga1インターミドルへ向けて~Alpine’s obstacle course~
前書き
とうとう引退まで残り1年を切ろうとしていますね。
本編である事件編は今年中には完結できそうで、来年の残り7か月は日常編に注力できそうです。
Forceが無事に連載されていたら、おそらく日常編に入れなかったかもです。ラッキー♪
でも最後まで読みたかったなぁ、魔法戦記リリカルなのはForce
†††Sideヴィヴィオ†††
わたし達チームナカジマの目標、インターミドル・チャンピオンシップ。その予選が2ヵ月後の7月から開始される。というわけで、わたし達は今、5月の連休を利用してチームナカジマの合宿所でもあるホテルアルピーノにやって来てます!
「今日から3日、お世話になります!」
コーチ兼セコンドのノーヴェに続いて「お世話になります!」って、メガーヌさんとルールーとリヴィにお辞儀すると、メガーヌさん達も「いらっしゃいませー♪」お辞儀で出迎えてくれた。そんなメガーヌさん達の後ろから「いらっしゃい」新入りさんが顔を出した。
「こんにちは、ファビアさん! ちょっとぶりです!」
「お久しぶりです、クロ」
ファビア・クロゼルグさん。わたしのオリジナルである聖王オリヴィエや、アインハルトさんのご先祖様の覇王クラウスと同じ時代を生きた魔女、カイラの記憶を受け継いでる。そのことで一悶着あったけど、今はメールや通信のやり取りを週一でするくらいに仲が良い。
「ん。ヴィヴィとアインハルト、それにセティ達も、いらっしゃい」
すっかり定着したフォルセティの愛称を言って、フォルセティとコロナとリオとイクスに向き直って小さくお辞儀。フォルセティ達も「久しぶり~!」ってファビアさんにお辞儀返し。
「よしっ。そんじゃお前ら、荷物をそれぞれの部屋に置いて、トレーニングウェアに着替えろ。軽くストレッチをした後、午前はアスレチックでフィジカルトレーニング、午後からは自由時間。それでいいな?」
「「「「はいっ!」」」」
「フォルセティとイクスは、サポートで頼むぞ。とはいえ、午前は特にやる事もないだろうが。手が空いているうちはメガーヌさん達の手伝いでもしてくれ」
「「はい!」」
「よし。行動開始!」
ノーヴェの号令に従って、以前もお世話になったコテージの1番館へとみんなで向かう。
「少し見ないうちにまた増えたね~」
「この前来た時、コテージは1棟だけだったし」
アルピーノ邸と宿泊用コテージの2棟だけたったのに、今はロッジ2棟、コテージ2棟と増えてた。しかも、かなり本格的な造りで、ルシルさん達の手伝い無しでこの完成度。みんなで「本当にすごいね~」って感嘆してると、ルールーとリヴィが「でしょ~♪」って胸を張った。
「ルシルさんにはタダでアドバイス貰ったし、ミッドでも指折りの建築会社の大工さん達を派遣してもらったし!」
「さすがに力仕事がガリューだけじゃね。お姉ちゃんの他の召喚獣も、資材運搬は出来るけど建築は出来ないから」
「おかげで、こうして4棟も格安で建ててもらっちゃったわ~♪ ルシル君様様よ♪」
最後にメガーヌさんが右手を頬に添えて嬉しそうにそう言ったら、フォルセティも「お父さん、結構そういう伝手があるみたい」自慢げに胸を張った。どうやらその建築会社はセレスさんの実家のミュンスター・コンツェルン系列だったみたいで、知り合い価格で建ててもらったとのこと。
「ルーちゃん。奥に建設途中の物があるけど、アレも宿泊施設?」
ロッジやコテージの奥には、宿泊施設にしては長方形すぎる骨組みが建てられてた。そんなコロナの疑問にルールーは「アレ? アレは体育館だね。屋内用のトレーニング施設にする予定」って答えた。
「ジムに在るようなトレーニング器具を少しずつ揃えてくつもり。雨の日とかはアスレチックを使うのは危ないから」
「なんか、本格的に合宿所みたいなことになってきたね~」
「そうだよ、フォルセティ。チームナカジマはもちろん、その他の競技者たちを招くのも良いと思うんだよね。ママも賛成してくれてるし♪」
「ええ。一応ホテルアルピーノとしての運営をするから。・・・っと、それじゃあルーテシア、リヴィア、ファビア。みんなの応対をお願いね。お母さんはお昼の準備をしておくから」
「「はーい!」」「うん」
「じゃあ私とリヴィアもトレーニングウェアに着替えてくるよ」
「ファビアはどうする? ヴィヴィオ達のトレーニングを見学する?」
「うん。それでいい」
メガーヌさん達がアルピーノ邸に戻っていったのを見送って、わたし達は改めてロッジへ歩を進める。2階建てのロッジは、1階には子供なら6人まで寝られる特大サイズのベッドのある大部屋1部屋と、3人用寝室が1部屋。2階には2人用寝室が6部屋。あと屋根裏。
「今回も大部屋にしようよ!」
「さんせー!」
「携帯端末やデバイスが無くても、ベッドで寝落ちするまでお喋り出来るからね!」
「はい! 限界までお話しましょう!」
わたしが大部屋を目指すと、リオ、コロナ、イクスって続いてくれて、アインハルトさんも「は、はい!」慌てて追いかけてくれた。大部屋に入って、着替えなどが入ったボストンバッグを部屋の隅に置く。
「僕は2階の部屋に行くから~」
廊下からこっちを見てたフォルセティがそう手を振るから、わたしは「えー」って不満を漏らす。隣にもう1部屋空いてるんだから、そっちで寝ればいいのに~って。
「隣はノーヴェが泊まると思うし・・・」
「あ? なんだ、フォルセティ。あたしと一緒で1階の部屋で良いじゃねぇか。あたしは別に気にしねぇぞ?」
ノーヴェがそう言うと、フォルセティはビシッと右手の平をノーヴェに向かって突き出して「男女七歳にして席を同じゅうせず、だよ」うんうんって頷いた。みんなで首を傾げてると、「お父さんから教わったんだ」フォルセティが胸を張った。
「あーつまり、7歳以上の男女は同じ部屋で泊まっちゃダメってことか?」
「そう! だから僕は1人で寝るから」
「ルシルさんも結構厳しいんだな~。ま、そういうことならあたしが2階に行くから、フォルセティ、お前はヴィヴィオ達の隣の部屋で寝ろ。隣なら別に構わねぇだろ? 前回の合宿や、シャルさん家でもそうだったしな」
「ま、まぁそれなら・・・」
「決まりだな。あ、そうそう。話しやすいからってあんまし夜更かしすんなよ? 明日には八神家の皆さんが来るからな」
なのはママ達は仕事のスケジュール都合が合わなくて不参加だけど、八神家の皆さんはちょうど都合が良くて、明日に合流することになってる。それになのはママ達は今回ダメだったけど、来月の合宿にはスケジュールを合わせてもらえることになってるから、練習会で鍛えてもらおう。
「それじゃあフォルセティ。着替えるからまた後でね」
「うん」
ドアを閉めて、念のために鍵をかけた。フォルセティはさっきのやり取りのとおり、ルシルさん譲りの紳士さんだから覗きなんて絶対にしないだろうけど。うん、念ため、万が一、だ。
「アインハルトさん、なんかそわそわしてるみたいですけど、どうしました?」
わたしの隣で脱いだ服を畳んでるアインハルトさんの様子がそんな感じだったから、ちょっと尋ねてみた。
「あ、いえ。すいません。練習会というものが今から待ち遠しく」
「なるほどです! 実は言うとわたしも今からドキドキしてますよ!」
「あたしもー!」
「大人の人たちとの練習会は私たちも初めてだから、私は期待半分恐怖半分だったり」
コロナの考えも解かる。大人たちを交えてのチーム戦って、わたし達は全然経験がない。シャルさんのお家でお世話になっていた頃も、わたしを狙う最後の大隊っていう組織への対応であんまりシャルさん達と試合できなかった。
(八神家の皆さんは、古代ベルカ式の騎士。つまり近接戦闘のプロだ)
インターミドルに参加する競技者の大半は魔法戦に自信のある魔導師で、わたし達チームナカジマのように近接格闘戦技者は少ない。でも、はやてさんとルシルさんとアインスさんは、魔法戦に優れた騎士でもあるから、すごく為になる練習になりそう。
「とりあえず魔力量には制限掛けてもらえるから、魔力量の差で負けちゃうことはないと思う」
下着姿になってたわたしがそう言った直後、バンッと!勢いよく窓が開いて、外から「技と技のぶつかり合い!」ルールーが叫んで、さらに「相手は正真正銘のベルカ騎士!」リヴィが続いた。2人はすでにトレーニングウェアに着替え終えていて、驚いてるわたし達を見て「まだ着替えてないの?」って聞かれた。
「あ、ごめん! すぐに着替えるから!・・・って、ルールー、リヴィ。窓閉めて」
「誰も居ないから大丈夫」
「ルールー達が居るでしょ!」
「女の子同士じゃない。前も一緒に着替えてたし」
「同じ部屋で着替えるのと、外から覗かれるのとじゃ、なんかちがーう!」
どうしてかその2つの差が、わたしに羞恥心を与えちゃってた。コロナとリオもそうみたいだし、アインハルトさんも困ってる。だから窓に1番近かったイクスが「閉めますね~」窓を閉めて、鍵も掛けてからカーテンも閉めた。その時のルールーとリヴィの呆け顔がちょっと笑えた。
「合い鍵とかでドアが開けられる前にさっさと着替えちゃおう」
バッグからトレーニングウェアを取り出して、ささっと着終えた。みんなもトレーニングウェアに着替え終えて、わたし達は部屋を出て外へ向かう。集合場所のアスレチックエリアにはノーヴェ、フォルセティ、あとルールーとリヴィ、服はそのままなファビアさんが待ってた。
「すいません、遅れました!」
「いや。別に時間指定してないから気にすんな。じゃあ2人1組に分かれてストレッチ」
わたしはアインハルトさん、コロナとリオ、ルールーとリヴィの3組に分かれてストレッチを開始。最初は1人で出来るストレッチで、最後は背筋伸ばしや座ったままの前屈などをアインハルトさんと3セット。
「アスレチックと聞いていましたが、どれも見知らぬ物ばかりですね」
「あ、はい。なのはママの生まれた国の番組に、アスレチックコースを攻略するサスケというものがあるんですけど、そのアスレチックを参考に建てたんです。ね、ルールー、レヴィ?」
「そうだよ~。アイリからのリクエストなんだけどね。魔法や魔力運用を一切しないで、純粋な身体能力での攻略は本当に難しいんだよ」
「アインハルトもやってみたら? もちろんヴィヴィオ達も。1人用から2人用の対決形式のやつもあるからさ」
リヴィが口にした“対決”っていう言葉にアインハルトさんが「ほう」興味を持ったみたい。さらにそわそわしだすアインハルトさんとのストレッチを終えて、「アスレチックへGo!」だ。
「こほん。では僭越ながら私ルーテシアが、各アスレチックの説明をします。まず――」
前回訪れた際にルシルさん達と一緒に造ったアスレチックは、跳び木、斜辺上り、壁上り、網上り。ロープで繋がれた木の足場や吊り輪などの空中回廊、平均台、ロープスライダー(コレは高い場所からの降下用だね)、匍匐全身用コース。
「んで、最近造ったのがこちら! まずはパワーフォース! このゴムロープの付いた専用ベストを着て・・・」
「こっちの専用ステージの中央に背中合わせで立つ」
ルールーとリヴィがゴムロープで繋がれたベストを着ると、30mくらいの直線ステージの真ん中に背中合わせで立って、そして走る体勢を取った。
「レディー・・・ゴー!」
ファビアさんが号令すると同時、ルールーとリヴィが正反対に向かってダッシュ。2人の着てるベストを繋ぐゴムロープがピンッ!と張って、2人のダッシュが止まった。そこからはステージの両端の在る半球状のクリスタルを目指して、ルールーは四つん這いで、リヴィは重心を落として前に倒れこむように進む。
「くぅぅ・・・! 力じゃ妹に勝てないぃ~・・・!」
ルールーが踏ん張りきれずに引っ張られてく。そしてリヴィがクリスタルに手を付くと、クリスタルから光の花火が打ち上がった。
「対戦相手によりますけど、足腰を鍛えるのに良いみたいですね」
アインハルトさんが目をキラキラさせてる。うーん、わたしで相手になるかな~。
「このパワーフォースの同タイプとして、1つの壁を押し合って相手を端っこまで追い詰めるパワーウォールがあるよ」
「コレだね」
「やってみようか、コロナ?」
「え? うーん、負けちゃうかもだけど、やってみようかな」
15mのレールの中央に1枚の壁があって、コロナとリオが壁を隔てて押す体勢になった。そしてルールーの「レディ・ゴー!」の号令で、2人は「っ!」壁を押し合い始めた。コロナも鍛えて足腰が強くなってるから、一方的な試合じゃないけど、「むぅ、ダメぇ・・・」スタミナじゃリオの方が圧倒的で上。だからリオの押す壁に押されたコロナが負けちゃった。
「コロナ、良い試合だったよ!」
「ありがとう、フォルセティ君!」
「うん、惜しかったっ。あとはスタミナだね。あーでも、コロナはゴーレムマイスターだから、そっちを優先で鍛えるのか~」
「うーん。一応は格闘戦の練習もするんだけど、パワーフォースで勝てる未来は見えないかも」
「これならあたしでもアインハルトさんに勝てそう!」
リオがそう言って笑うものだからアインハルトさんが「その挑戦、受けて立ちます」燃え始めた。リオが困ってる顔を浮かべる。冗談のつもりだったんだろうけど、アインハルトさんは割りとトレーニングとか試合とかにすぐ燃えるから、気を付けた方がいいって・・・うん。
「じゃあさ。2人でうちの自慢の妹のタイムに挑んでみてよ。試作機具タイムアタック。大人モードまでは許すけど、強化を始めとした魔法は使用不可ね?」
ルールーは胸を張って挑発的な目でわたし達を見た。わたし達は顔を見合わせて、「やります!」強く頷き返した。そしてわたしとリオとアインハルトさんは、インターミドルでは大人モードで参加するから・・・。
「クリス!」
「ティオ!」
「ソル!」
わたしはうさぎのぬいぐるみの外装をした“セイクリッド・ハート”を、アインハルトさんは仔猫の外装をした“アスティオン”を、リオはベルカ魔法陣が刻印された六角形のアミュレット、“ソルフェージュ”を起動させて、トレーニングウェアのまま大人モードに変身。
「あ、ファビアさんもご一緒しませんか?」
「ムリ。私、格闘系じゃないし。インターミドルにも出ないし。見てるだけでいい」
「そ、そうですか、判りました」
聞くまでもないことを聞いちゃった。ファビアさんは今の時代には珍しい魔女で、魔女術っていう魔法体系を扱う。自分のミスなのにしゅんとするわたしに「応援してる。頑張って」ファビアさんが声援をくれた。
「っ! はいっ!」
沈みかけてたテンションがグッと上がって、「わたしから行きます!」って挙手。タイムで競うならこういうのは後の方がいい。攻略法を見てから挑む方が。でもわたしは、真っ先に挑戦してみたかった。
「オッケー♪ じゃあコースの説明をするね」
ルールーからのアスレチックの説明を受けて、スタート位置に着く。そしてリヴィの「レディ・・・ゴー!」っていう号令と同時、わたしは「ヴィヴィオ、行きます!」駆け出した。
(最初のアスレチックは、ロープクライミング!)
ロープを伝って木の板で作られた壁を登って、「次!」の木と木の間に張られたロープから何本も垂れる足を掛けるためのリング付きロープの橋を渡った。ロープを伝って地上に降りて、「次!」の三角形に組まれた坂を4つ連続で駆け上がる傾斜登りを攻略。
(次は・・・!)
さらに平均台4つを進んで、容量20リットルのボトルが5つ乗せられたキャスター付きの板をロープで15m先のストッパーまで引っ張る、プルズドライブっていう名前らしいアスレチックも攻略。
「次はパンチングクラッシュ! ミットを打つ打撃力と連動して、垂直レールを駆け上がるウェイトの高さを競うアスレチック! さぁ、ヴィヴィオは5mまで上げられるか!?」
ルールーの解説を聞きつつ、L字型の台の前に立つ。そして目の前にあるミット目掛けて「せーい!!」全力と拳を打ちこんだ。わたしの1発を受けたミットの傾きに連動してウェイトが垂直レールを勢いよく上った。
「ギリギリだけど5mを突破! 次へゴーゴー!」
「次は派生のキッキングクラッシュ! 名前のとおり蹴りの威力でウェイトを上げるもの! パンチよりかは威力があるから、今回は2m+の7m! さぁ、どうぞ!」
パンチングクラッシュの隣に設けられてるキッキングクラッシュの前に立つ。小さくトントンとジャンプしてから蹴りの体勢に入る。そして「はぁぁぁぁぁ!!」全力の蹴りをミットに打ち込んだ。
「おっとおおおお! これは届いてない!」
「「「ヴィヴィオー、頑張れー!」」」
「ヴィヴィオさん!」
「ヴィヴィオ、あともう少しです!」
みんなの声援に応えないわけにはいかないよね。わたしは力強く頷き応えて、「どりゃぁぁぁぁ!」もう1度全力の蹴りを打ち込む。すると今度は「いった! 7m到達!」ってルールーが言ってくれた。
「次はネットアップダウン! 高さ5mのネットの壁を越えて、高さ50cmに張られたネットを匍匐前進で進むコースの複合アスレチック!」
「ネットの壁から降りるときは飛び降り禁止ね~」
リヴィの言葉に内心がっくり。飛び降りればタイム短縮が出来るのにって。しょうがないからネットの壁の頂上を跨いで乗り越えて、足元を確認しながら地面まで急ぎつつも慌てて落下しないように気を付けて降りきる。そして匍匐前進でネットの下を潜れば攻略完了だ。次は小川の両岸を繋ぐ飛び木を渡る。
「さぁ、次はウォールタックル! レーンに置かれた3kg、5kg、7kgの壁の順々に押して行って、最終的に14kgとなる3つの壁をストッパーまでも押すアスレチック!」
「ヴィヴィオ、もうちょっと! 頑張れ!」
15mのレーンのスタート位置に着いて、最初の3kgの壁を押す。そしてゴツンと2つ目の5kgの壁にぶつかって、8kgになった2枚の壁を押す。最後は7kgの壁とぶつかって計14kgの3つの壁を「う~ん、う~ん!」頑張って押し続ける。
(中腰になるから結構キツイぃ~~!)
でもなんとかクリアして、「次!」のアスレチックへ。ルールーが「はい! 次はウォールリフト!」って紹介。さっきの3つの壁を押すウォールタックルに似て、今度は持ち上げて進んで行くっていうもの。
「ふんっ・・・むぅ~~~!」
最初の6kg、次の8kg、最後の10kgの壁を「でぇーーーい!」なんとか持ち上げてクリア。肩で大きく息をしながら「あと2つ!」のアスレチックを見据える。
「次は射撃訓練用アスレチック・ストラックアウト! 指定のパネルを魔力弾1発で撃ち抜くアスレチック! ちなみに誘導操作系は禁止だから直射系でね!」
「じゃあ、まずは1番から行ってみようか!」
何も無い中に空間パネルが12枚と展開された。これまでの木製・鉄製のアスレチックとは違って、ストラックアウトは魔法科学によるものだった。とりあえず地面に描かれた白線の前に立って、「ソニックシューター!」を1発だけ生成。
「(1って書かれたパネルを狙って・・・)ファイア!」
空間パネルは小さい上に一定間隔で上下左右のどれかに移動するから、それを念頭に狙いを付けて撃たないと。わたしの放ったシューターは1番パネルを撃ち抜いて砕いた。さらに2番から12番のパネルを、何度か外しながらも粉砕。
「よしっ! あとは・・・!」
「最後はそり立つ壁! 球状にくり貫いたかのように湾曲してる壁を駆け上がって、てっぺんに手を引っ掛けて腕力でよじ登る! 駆け上がるための脚力、てっぺんに手を掛けるための跳躍力、体を支える握力、体を持ち上げる腕力を総動員するラストアスレチック!」
「今後とも増やしていく予定♪」
とのことで、小さな階段からそり立つ壁っていうアスレチックに上がる。助走のための真っ直ぐなコースが10mほどあって、その先からガクンと曲線の凹みから壁に繋がってるっていう感じ。これまでのアスレチックで割りと疲労というか腕や足腰がガクガクで、何度も挑戦できない。
「(大人モードだからこそクリア出来そうだけど、子供のままだったら絶対にムリだよね)いきます!」
助走からのジャンプ。踏み切り場所をしっかり見極めれば、きっと1発でクリア出来る。
(ここだ!)
助走の勢いを殺すことなく湾曲する壁を駆け上って、これ以上は無理っていうところで「えーい!」跳んだ。伸ばした右手がてっぺんの縁を掴んだ。自重で右腕がグッと伸び切る。ここから左腕を伸ばして、左手も縁に掛ける。
「ん~~~~~!」
腕が震えちゃう。でもなんとか上半身をてっぺんにまで持ち上げることが出来て、上げた足を引っ掛けてそのまま上りきる。
「ゴォォォーーーールっっ!」
ルールーがそう言うと、みんなが拍手でわたしを称えてくれた。そり立つ壁の裏にある螺旋滑り台で地上に降りて、出迎えてくれたフォルセティ達とハイタッチ。
「えー、ただいまのヴィヴィオの記録は・・・11分58秒!」
「おお! って、わたしが1番手だから速いか遅いか判らないけど・・・」
それからリオ、アインハルトさん、そして急遽参加することになった大人モードのフォルセティ(まんまルシルさんで、綺麗で格好いい)と続いた。
「では結果発表! 1位! フォルセティ! 2位! アインハルト! 3位! ヴィヴィオ! 4位! リオ!」
という結果で、リオはそり立つ壁までは好タイムだったけど、大人モードといってもわたしやフォルセティやアインハルトさんほどの身長は無かったから苦戦しちゃったんだよね。
そうして午前中はアスレチックでのタイムアタックで過ぎていって、メガーヌさんの美味しいお昼ご飯で満足して、午後からは近くの湖で遊ぶことになった。
後書き
11年と使っていた執筆用ノートPCがとうとう天へ。
にじファン時代からよく頑張ってくれた。
完結まで使いたかったけど、やっぱりメンテを一切しなかったせいか持たなかった。
今までありがとう。
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