曇天に哭く修羅
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第二部
勝つ為に
前書き
雑になってきた。
合宿が終わり皆が帰った後。
「刺客のアジトは判った?」
「勿論。頑張ったんで」
龍帝学園の生徒会長《島崎向子》は刻名館学園の生徒会長《矢田狂伯/やだきょうはく》と話している。
「【関東領域】に幾つものアジトを作ってましたよ。俺等の庭なのに良い根性してるわ」
「だからって独断専攻で全てのアジトを潰されると困るんだけどなあー」
向子の所有する島に刺客が侵入できた理由は向子自身が解っているのでどうでも良い。
「明らかに《クリス・ネバーエンド》が標的。わざわざ最弱のクリスちゃんを」
狂伯は薄ら笑いのまま向子を見ている。
「いきなりなんだけどさあ。無人島に刺客を入れたのって狂伯君だよね~?」
「やっぱり気付いてたか。別に悪気が有って入れたわけじゃないんですけど」
向子は言われずとも解っていた。
クリスの弱点を克服する為だ。
結局トラウマは治らなかったが。
「親善試合の穴は彼女だよねぇ。江神君や橘花君が出てくれるなら良いんだけど」
「その二人は今何を?」
向子いわく、【夏期龍帝祭】で優勝した《橘花 翔/たちばなしょう》は《江神春斗/こうがみはると》からの挑戦を受け、親善試合の日に戦うことになった。
二人とも修業に励んでいるらしい。
「立華君は悔しがるだろうなぁ」
「俺も見たいですしね」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
次の日、向子の屋敷に有る地下。
クリスと《立華紫闇》が居る。
向子が修業の為に貸してくれたのだ。
大量のピンポン球は紫闇が用意。
「今からやるのは【盾梟】を修得する訓練。俺の時は『鉄球ぶつけ装置』だったけどピンポン球でも行けると思う」
紫闇はクリスに説明。
クリスが姉の《エリザ・ネバーエンド》に勝利する為の条件として、彼はクリスが盾梟を覚えることが必須だと思っていた。
「先ずはエリザの使う『風の絶対防壁』をクリアしなきゃならないがその手段。クリスが使う兵器で突破できるなら盾梟は要らないんだが、今のクリスには無理だろ?」
「そうね。まともにやったら攻撃は通じないし、彼奴から距離を詰めて終わりよ。近付かれた時点で負けは免れないと思うわ」
しかし盾梟を使えるなら違う。
黒鋼流の【堅剛】を使えるから。
この技は相手の直接攻撃に合わせて盾梟を受け身のカウンターとして用い、敵の手足を痺れさせることで動きを止めるというもの。
「【異能】が無い俺には理解できないんだが、異能の制御には集中力が要るんだろ? 堅剛が成功すればエリザは少しだけ風の制御が出来なくなると思うんだ。あの技術は高度な上に精密さが欠かせない」
クリスは理解できた。
集中力を乱せば無防備になる。
風の壁を素通りすることも可能。
「もし彼奴の防御に空きが出来たらクリスは何時も通りの火力で一気に仕留めてくれ。エリザとの戦いは接近戦が肝になる」
一瞬クリスが強張った。
エリザのトラウマが消えていないから。
しかし直ぐに何時もの顔。
堂々として自信に満ちる。
どう見ても空元気だが。
「上等よッ! 彼奴を接近戦で倒すのはさぞかし気分が良いでしょうねッ!」
後書き
_〆(。。)
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