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戦国異伝供書

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第八十三話 和睦の間にその四

「少し一条家のご本家とお話をするか」
「都のですか」
「ご本家の方とですか」
「お話をされますか」
「そうされますか」
「うむ」
 元親は家臣達に答えた。
「今はな」
「そして、ですか」
「そのうえで、ですか」
「土佐の一条家とどうするか」
「考えていきますか」
「間違っても一条家の本家とは揉めぬ」
 元親はそれは絶対だとした。
「上洛を考えておるしな」
「はい、一条家のご本家は都にこそ力のあるお家です」
「公卿の中でも名家です」
「それだけに上洛されるとなると」
「一条家のご本家とはですな」
「揉められぬ、それでそちらとお話をするか」
 一条家の本家と、というのだ。
「そしてじゃ」
「そのうえで、ですか」
「土佐の一条家とどうするか決めるか」
 こう言うのだった。
「とりあえずはな」
「そうですか」
「まずは都の方とお話をして」
「それからですか」
「決めるか、出来れば戦いたくないがな」
 土佐の一条家とは、というのだ。
「どうしてもな」
「それでもですな」
「ことと次第によっては」
「せねばなりませぬか」
「やはりな」
 こうした話をしつつだった、元親はまずは政に励んだ。そしてその中で正室も迎えることになったが。
 ここでだ、彼は弟達に話した。
「やはり奥を迎えるとな」
「違いますな」
「それだけで」
「もうかなり、ですな」
「うむ」
 まさにというのだ。
「実によい」
「左様ですな」
「それではですな」
「兄上はこれからは」
「子ももうけ」
 そしてというのだ。
「家を続ける様にしていく」
「そうされますな」
「長曾我部家を代々まで伝える」
「その様にされていきますな」
「是非な、しかしこの土佐までよく来てくれた」
 妻がというのだ。
「何かとこの地は僻地だからのう」
「ですな、どうしても」
「この土佐は四国の他の国からも離れています」
「三方を山に囲まれていますので」
「どうしても」
「うむ、しかしな」
 それでもというのだ。
「その土佐によく来てくれた」
「実に有難いですな」
「このことは」
「何と言ってよいか」
「前から決まっていたこととはいえ」
「その奥に報いる為にもじゃ」
 是非にというのだ。
「この土佐を一つにしてな」
「そして、ですな」
「四国も一つにする」
「そうしていきますな」
「必ずな、さて安芸家の動きじゃが」
 今度はこの家のことを話した。 
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