戦国異伝供書
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第八十三話 和睦の間にその三
「進む分かれ目にですか」
「近付いておらぬやもな」
「若し外道に進めば」
親貞がその場合について述べた。
「その時は」
「言うまでもないな」
「当家は終わります」
「四国どころか」
それこそというのだ。
「土佐さえも」
「治められるな」
「その資格もありませぬ」
到底というのだ。
「まさに」
「そうであるな」
「では」
「一条家についてはな」
どうしてもというのだ。
「考えがまとまらぬ」
「今は」
どうしてもというのだ。
「わしもな」
「左様ですか」
「ここで誤ればな」
まさにというのだ。
「わしは四国の覇者どころな」
「土佐のですか」
「それもじゃ」
「出来ないと」
「そうも思う」
こう言うのだった。
「正直悩んでおる」
「人の道を外れるかどうか」
「外れればな」
その時はというと。
「まさに毛利殿や松永殿の様にな」
「無道になりますな」
「無道になればな」
それでというのだ。
「何でも出来るが」
「しかしその果ては」
「知れたものじゃ」
まさにというのだ。
「わしはそうなりたくない」
「だからですな」
「一条家に対してどうするか」
「それが問題ですな」
「うむ、しかしな」
ここで元親はこうも言った。
「皆今の一条家をどう思う」
「その一条家ですか」
「どういった状況か」
「そのことですか」
「そうじゃ、かつての公家のお家でなくな」
都から土佐まで来たその格式ある家かどうかというのだ。
「我等と同じになっておらぬか」
「土佐の国人ですか」
「その様になっておらぬか」
「そう言われますか」
「うむ、しかも今のご当主殿はな」
一条兼定、彼はというのだ。
「どうであろうか」
「どうも、ですな」
「忠義の家臣の方々を遠ざけられ」
「放蕩を好まれておられるとか」
「しかも伊予の西園寺殿の領地を攻められ」
「揉めごとを起こされていますな」
「うむ、どうもよくないのう」
元親は今の一条家について述べた。
「ここで若しな」
「当家にですな」
「何かすれば」
「その時は、ですな」
「当家としてもな」
どうしてもというのだ。
「対せねばならん」
「まさかと思いますが」
「それはないと思いますが」
「その時は、ですか」
「我等としても」
「何とかせねばならぬか、しかしな」
それでもとだ、元親はさらに話した。
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