戦国異伝供書
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第八十三話 和睦の間にその一
第八十三話 和睦の間に
長曾我部家と安芸家は一条家の仲裁によって和睦することとなった、それで元親も今は兵を動かすことなく。
領地の政に専念することにした、それで田畑や街を整え城や堤、道や橋も築いていった。その中でだった。
元親は家臣達にこうも言った。
「さて、岡豊城はもう小さいな」
「はい、二十万石の城としましては」
「そして土佐の主の城としては」
「どうにもです」
「小さいですな」
「これでは土佐全土を治めるにも不都合じゃ」
元親はこうも言った。
「それでじゃ、新たに城を築こうと思っておる」
「ではその城は」
「何処に築かれますか」
「一体」
「高知の地じゃ」
そこだとだ、元親は答えた。
「あの地に大きな城を築きたい」
「あの地にですか」
「殿はそうお考えですか」
「左様ですか」
「今すぐではないがな」
それでもというのだ。
「やがてはそこに城を築いてじゃ」
「そして、ですか」
「そのうえで、ですか」
「治めていかれますか」
「土佐も四国も」
「そうじゃ、少なくとも岡豊城では小さくなった」
このことは事実だというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「新たな本城を築かれますな」
「高知に」
「そうされますな」
「そうしたい、高知はよい土地じゃ」
土佐の中ではというのだ。
「土佐の真ん中にあり周りによい田畑も街も持てるな」
「土佐の軸になれますな」
「まさに」
「そうした地ですな」
「だからそう考えておる、だが今はな」
元親はこうも言った。
「よいな」
「はい、政ですな」
「田畑や街を整え」
「堤や橋や道も築き」
「城も修繕していきますな」
「そうしてじゃ」
そのうえでというのだ。
「国を豊かに強くしてな」
「そして、ですな」
「そのうえで、ですな」
「次の戦に備えますな」
「そうしますな」
「左様、具足は軽く動きやすいものにしてじゃ」
無駄な部分を省いてというのだ。
「当世の具足にしても」
「足軽にも小手や脚絆を与え」
「陣笠もよくしてですな」
「槍は長くし」
「矢も増やしますな」
「そうする、一領具足の者達にそれを進めさせ」
そうしてというのだ。
「そしてじゃ」
「いざという時は、ですな」
「安芸家との戦になれば」
「その時は」
「その強さで戦う」
領地そして兵達のというのだ。
「そして勝つぞ」
「今安芸家は二千です」
ここで親益が言ってきた。
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