ヘタリア大帝国
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TURN37 マレー解放その六
「他のものへの防御は弱いな」
「エイリス軍は元々大艦巨砲主義の国ですから」
「実際にそうした巨砲攻撃で勝ってきた」
数多くの世界帝国になるまで、なってからもその地位を守る為の戦いもだ。エイリス軍ビームの火力で買ってきたのだ。
それでだ。その防御思想もだったのだ。
「艦載機やミサイルにはな」
「弱いですね」
「おそらく新型艦は違ってきているだろうが」
「はい、それでも旧式艦は」
「弱いな」
また言う東郷だった。
「ではその弱点を衝こう」
「鉄鋼弾を撃ちますか」
「駆逐艦及び鉄鋼弾を放てる魚を前に出す」
そしてだというのだ。
「これで敵の戦力を半分程度に減らそう」
「そうしましょう。ただ」
「それだけではなくだな」
「はい、敵の旗艦は判明しています」
見れば敵艦隊の先頭にだ。一隻の見事な、明らかにエイリス軍のものである戦艦があった。
モニターにあるその戦艦を見ながらだ。秋山は東郷に述べた。
「あの戦艦に対しても」
「攻撃を仕掛ける」
「では」
こうしてだった。日本軍の水雷部隊が前に出て高速で移動しながらだ。
既にかなりのダメージを受けているエイリス軍に攻撃を浴びせた。エイリス軍は東郷の予想通り鉄鋼弾にも弱かった。
今度もまた次々に爆発し炎となっていく。その中でだ。
日本が己が率いる艦隊の将兵達に言っていた。
「あの敵司令官の乗る戦艦にです」
「はい、鉄鋼弾をですね」
「集中的に浴びせますね」
「そうします。敵の司令官の乗艦を沈めれば」
「この戦いの勝利は決定しますね」
「それによって」
「はい、ですから」
だからこそだというのだ。
「あの戦艦にも攻撃を浴びせます」
「了解です」
「それでは」
こう話してだ。そのうえでだった。
日本が率いる艦隊は敵の司令官が率いる艦隊とその乗艦に向かった。光の様な速さで進む。
そして至近距離になったところでだ。日本が命じた。
「攻撃です!」
「了解!」
「それでは!」
日本の言葉を受けてだ。そのうでだ。その鉄鋼弾が放たれる。
鉄鋼弾を受けて艦隊が薙ぎ倒される。そして。
司令官の乗る戦艦も攻撃を受けた。艦内に衝撃が走る。
司令官も衝撃で打ちのめされる、しかし何とか立ち上がりだ。
部下達に損害状況を聞いた。その状況は。
「大破です、このままではです」
「沈みます」
「くっ、やられたか」
何とかだ。周辺は大丈夫だった。だが。
被害を伝える警報が鳴り響く。しかもそれは乗艦だけではなかった。
「第七艦隊壊滅!」
「第十五艦隊旗艦リバイアサン撃沈!」
「第二十三艦隊戦力が半分になりました!」
「敵艦隊包囲に入ろうとしています!」
戦況報告は彼等にとって悲観的なものだった。それを聞いてだ。
司令官は苦々しい顔でだ。こう言ったのだった。
「これ以上の戦闘はだ」
「無駄ですか」
「最早」
「そうだ。これ以上の戦闘はいたずらに損害を増やすだけだ」
こう言うのだった。
「だからだ。撤退するぞ」
「はい、無念ですが」
「ベトナムにまで、ですね」
「迂闊だった。魚達は案外強い」
司令官も今わかったことだった。
「このこと覚えておこう」
「そうですね。では次は」
「ベトナムだけは守りましょう」
部下達も無念の顔で応えてだ。そのうえでだった。
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