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ヘタリア大帝国

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TURN36 タイの提案その六

「この戦争が落ち着いた時にも」
「そうするあるよ」
「そういえばあの国は何といったかしら」
 四姉妹の筆頭であるハンナもだ。いぶかしむ顔で首を傾げさせてこう言い出した。
「一応連合国だったわよね」
「そういえばそうね」
 ドロシーも淡々としている。
「連合国の主要メンバーは六人らしいから」
「えっ、そうだったの?」
「私もこの前はじめて知ったわ」
 ドロシーは驚きの声を上げたキャロルに淡々と返す。
「あの国もそうなのよ」
「そうだったの。初耳よ」
「私も研究所は置いていても」
 それでもだった。四姉妹の中で最も知的な彼女でさえも。
「それ以外は名前も知らないから」
「僕もだぞ」
「僕もだよ」
 アメリカとフィリピンもだった。彼の名前は覚えていなかった。
「何とかいったけれど最近殆ど見掛けないな」
「けれどやっぱり太平洋経済圏に入るのかな」
「太平洋に面しているからね」
 それでだとだ。二人にハンナが答える。
「だからね」
「そうなのか。その国もか」
「太平洋経済圏に入るんだ」
「そうなるわ。まあ特に気にしなくていいわ」 
 実際にハンナもだ。その国のことはどうてもいいという感じだった。
「問題はあくまでエイリスとね」
「そうだな、ソビエトだな」
「その二国だね」
「日本は表面的な敵よ」
 それに過ぎないというのだ。
「問題はあくまでその二国よ」
「敵は連合国にあるんだな」
「その通りよ。祖国さんもわかってくれてるわね」
「わかるぞ。それも完全に」
「じゃあいいわ。それはそうとして」
 ふとだ。ハンナは気付いた感じになってこんなことも言い出した。
「プレジデントは今はどうしているのかしら」
「今シカゴに行っているじゃないか」 
 アメリカがそのハンナに話す。
「そうしてるじゃないか」
「そうだったわね。昨日ね」
「忘れてたのかい?」
「今はね。そうね、道理でここにいない筈ね」
 アメリカを見ながらだ。ハンナはさらに言う。
「祖国さんがいてくれたら話はそれで済むところがあるのは確かね」
「今のプレジデントは影が薄いかい?」
「祖国さんと比べたらね」
 どうしてもそうなった。やはり国家、特にアメリカの存在感はかなりのものだ。しかも今この会議室はどうかというと。
「中国さんもいるから」
「僕もあるか」
「とりあえず中国さんは私達がハワイ近辺で日本との決戦に勝ったらね」
 そうしたらだというのだ。
「重慶から攻勢に出てね。そうしてね」
「わかったある。それではある」
「とりあえずは日本にはアラビア、マダガスカルまで進んでもらうわ」
 エイリスを助ける気は全くなかった。同盟関係にあるとはいえ敵だからだ。
「インドを太平洋に入れるかどうかは別にして」
「あの国はアジアだけれど太平洋じゃないよ」
 フィリピンがこのことを指摘する。
「だから。太平洋経済圏に入れるとなると」
「少し違うわね」
 キャロルもフィリピンの言葉を聞いて言う。
「確かにね」
「そうだよね。けれどインドが独立したら」
「エイリスの国力はそれだけで激減よ」 
 キャロルはこのことは尚更明るく指摘した。
「東南アジアとオセアニアの植民地にアラビアまで失うとなるとね」
「確実に世界の指導者としての地位は喪失するわ」
 ドロシーはここでも淡々としている。
「まさに願ったり適ったりよ」
「僕も同感ある」
 エイリスが世界帝国の座を失うことはだ。中国も賛成だった。
「日本にはまずは、あるな」
「徹底的に攻めてもらうわ」
 エイリスをだと。ハンナはまた言う。
 
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