リュカ伝の外伝
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リュー君のお仕事④
<サンタローズ>
リュリュSIDE
村でリンゴ農園を営んでいるメーロさんの息子のマールス君が、取れたてのリンゴを持ってきてくれた。
私は、お墓に供える花を摘んで帰って来た所だ。
村の入口に入ったら、
「ほらリュリュ!取れたてだから美味いぜ!」
って、リンゴを渡してくれた…
「何時もありがとう…」
私がリンゴを受け取ろうとした次の瞬間…空からお父さんが下りてきた。ルーラの魔法である!
「やぁリュリュ。今日も美人で安心したよ…あれ?またオッパイ大きくなった?」
「やだ、もう…目聡いわね…」
相変わらずのお父さん…急に現れ、爽やかにエッチな事を言う。
他の男性だったら嫌悪するのに、お父さんだと笑顔で許せる…ズルイよね。
「お!?美味そうなリンゴだね!貰うよ!」
マールス君が私に向けて差し出してたリンゴを勝手に貰うお父さん。
「あ!それはリュリュに…」
抗議の声を上げたが、お父さんが素手でリンゴを割るのを見て、言葉が出なくなっている。
半分にしたリンゴの片方を自らの口に…もう片方を、一緒に連れてきた女の子に渡し、話を進める。
「マーサばーさん居る?それとも、男作ってどっか行っちゃった?」
「怒りますよ!ばーさんだなんて…まだまだ若いじゃないですか!」
「あはははは!じゃ、内緒にしといて」
そう言うと、女の子の手を引きサンチョ邸へ歩き出した。
「…マールス君!リンゴありがとうね!」
私はマールス君にお礼を言って、お父さんの後について行く。
いったいあの女の子は何なんだろうか?
まさか…私の腹違いの妹だろうか?
う~ん…否定できないのが怖いわ…
「相変わらずサンチョの入れてくれた紅茶は美味しいなぁ…」
サンチョ邸でしみじみ紅茶を飲むお父さん。
マーサお祖母様を待っているのだ。
「ところでリュリュ…さっき入口で出会った少年は誰?彼氏?何か頼りなさげだったけど…」
「違うよ、お友達よ。3年前にサンタローズへ引っ越してきた、メーロさんとポミエさんの息子さんだよ。リンゴ農園を営んでいるの!美味しかったでしょリンゴ」
「うん。お腹空いてたからね…」
「リュカ様、お腹がお空きでしたら何か作りましょうか?」
「本当に!?いや~悪いねぇ~急に押しかけて食事たかっちゃって!ユニもお腹空いてるから、2人分お願いするよ」
そう言うと隣で大人しく座っている少女の頭を撫でる。
ちょっと羨ましいなぁ…
ところで何なんだろう、この少女は…
服装が変だ。
何が変って…あのゴツイ首輪が変だ…
取ればいいのに…お気に入りなのかな?
サンチョさんの料理と同じタイミングで、マーサお祖母様が2階から下りてきた。
「いらっしゃいリュカ…そちらのお嬢さんは誰?…アナタの娘?…やはりまだ居たのね!母親は誰!?」
お祖母様、決めつけちゃってる!
「ちまいまふ!ほくのふふへひゃはりまひぇん!!」
お父さん、食べながら喋るのは下品です!
「こらリュカ!食べるか喋るか、どちらかにしなさい!」
「…(もぐもぐ!)……(ガツガツ!)………」
お父さんは一心不乱に食べ続ける…
・
・
・
待つ事凡そ10分。(おかわりまでしたし…)
「………で、その娘は誰の子なの!?」
「違うって!僕の子供じゃないよ!」
「じゃぁ何なの?」
「うん。奴隷を買ったんだ!」
…………………………
(パシーン!!)
マーサお祖母様の平手がお父さんの頬を勢い良く叩く!
「アナタ自分が何したか分かってるの!アナタも奴隷だった経験があるのでしょう!なのに…「ち、違うんです!陛下を責めないで下さい!陛下は私達を救ってくれたんです!」
救った?いったい………
「まだ…救ってないよ…それを外さない事には救ったとは言えないよ…」
「いったいどういう事なの!?説明しなさい!」
「うん。あのね………」
・
・
・
やっぱりお父さんは優しい!
私も見たかったな、奴隷商人に1ゴールドを叩き付けたところを…
「なるほど…その首輪を安全に外したいのですね…」
「うん。母さんなら何とか出来るかなと思ってね。伊達に20年以上魔界に君臨していた訳じゃないでしょ!?」
「甚だ不本意な言われ様ですね。…まぁいいでしょう…では、ユニちゃんと言いましたね?…その首輪を調べたいので、一緒に書斎まで来て下さい」
ユニちゃんは、少し戸惑いお父さんの顔を見る。
「大丈夫だよ。僕のお母さんだから…とっても優しい人だよ。息子以外には!」
コクっと頷きマーサお祖母様と2階へ上がって行く。
「さて…あとは母さんに任せればいいか…あ~ホッとしたらお腹空いてきた!サンチョ、まだご飯あるぅ?」
「相変わらずよく食べますねぇ…」
そう言いながらもサンチョさんはお父さんの為に料理を始める。
「いや~…体力使うからねぇ~…毎晩!」
毎晩って…
「そりゃ体力使うわよね!未だにルーラを使って、世界を巡ってるんでしょ、リュー君は!」
振り向くとお母さんと妹のフレイが立っていた。
「もう、来たのなら声をかけてくれればいいのに!」
「ごめんごめん!急務があったからね…」
お母さんはお父さんに抱き付くと、娘の目の前で甘え出す…
「いや~でも、本当にルーラって便利だよね!大変な思いをして習得して良かったよ!」
いいなぁ…私もルーラを覚えたいなぁ…
「お父さん。ルーラってどうやって覚えるの?私も使える様になりたい!」
「ものっそい大変だよ!いいの?」
「覚悟はあります!これ程の魔法だもの…どんな試練にでも耐えてみせるわ!」
「……………う~ん…じゃぁ『ルラフェン』に行ってごらん」
「ルラフェン?」
「うん。ビスタ港から船に乗って、ポートセルミへ…其処から西に行くとルラフェンだ!迷路みたいな町だから、行けばルラフェンだと分かるよ。其処で『ベネット』って言う爺さんを捜しなさい。その人が知っているから…」
「お父さんが連れて行ってくれないの?」
「手間を惜しんじゃダメだ。苦労してこそ価値があるんだよ」
さすがお父さん!格好いい事言うわ!
「それに…めんどい!…あの町、迷うんだよね…」
………もしかして、こっちが本音?
「大丈夫?危なくないの?」
お母さんが心配してくれる。ちょっと嬉しいな…
「大丈夫だよ。リュリュは魔界へ行った事があるくらいなんだ!それに心強い仲間モンスターが居るだろ!え~と…アクユウ…だっけ?強そうじゃん!」
「アークデーモンのアクデンよ、お父さん!」
「そう、それ!アイツ、リュリュに近付く男を威嚇しまくってるだろ!僕も睨まれるんだ!娘に手を出すかっつーの!そりゃぁ、リュリュは僕好みに成長してるけど…」
ちぇっ!さすがのお父さんも、娘には手を出さないらしい…残念!
「じゃ、折を見てルラフェンに行ってみるわね!」
ルーラ習得について色々教わったところで、2階からマーサお祖母様がユニちゃんを連れて下りてきた…手には無骨な首輪を持って!
「母さん!?外す事が出来たんだ!」
「まぁ…ね!簡単だったわよ。『マホトーン』で封じる事が出来たわ」
「マホトーンでぇ!?」
「そのくらい思いつかなかったの?」
「だって、僕はマホトーンを使えないもん!」
「………確かティミーちゃんが使えたでしょう」
「アイツがそんなに気が利くと思うの?思考が堅いんだよ!まだリュリュに未練があるし…」
「まぁ…あの子の美点でしょ…父親に似なかった事は!」
「言ってくれるね!まぁいい…自慢の息子に活躍して貰う為に、今日はもう帰るよ」
お父さんはお母さんと濃厚なキスをして、ユニちゃんと一緒にルーラでグランバニアへ帰って行った…
うん!私もルーラを覚えよ!
リュリュSIDE END
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