テイルズオブザワールド レディアントマイソロジー3 ―そして、僕の伝説―
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第二十七話
「――……衛司っ!!」
「――ジュードっ…!?…久しぶりだね」
――ホールにて、アンジュとリーゼ村の人達を『オルタ・ビレッジ』に無事全員送り終えた事の話をしていると、突然開いた扉の音と、僕を呼ぶ久しぶりな声にそちらを見ると、以前リーゼ村で共に戦ったジュードが立っていた。
その後ろにはその時に一緒に戦ったミラと、初めてみる少女が二人程いた。一人の少女は多分、ジュードと同い年くらいの子で、もう一人は大体小学生くらいの子で、肩に何かわからないけど…ぬいぐるみ?、がのってた。
ジュードが此方に歩み寄ってきたのをみると、僕とジュードは合わせたようにハイタッチをした。
「―うん、久しぶり。それと…リーゼ村の人達を受け入れてくれてありがとう」
「ううん、僕達は当然の事をしたまでだし…リーゼ村の人達についての事は受け入れてくれたのはアンジュのおかげでもあるから、お礼はアンジュに頼むよ。……それで、あの二人は…?」
ジュードの言葉に小さな笑ってそう答えると、僕は視線を先程から気になっていた後ろの二人に向けてそうジュードに問う。
ジュードは僕の問いに一旦視線を二人に向けた後、僕に向き直り小さく苦笑を浮かんで口を開いた。
「えっと…二人はアルヴィンが言ってたと思うけど…僕達と一緒にこのギルドに参加するのに来てくれて…名前は―――」
「――ジュードっ!別に自己紹介なら自分で出来るよ…。ぁ、私はレイア。レイア・ロランドです!よろしくっ!!」
「――え…エリーゼ・ルタス…です…」
「――ティポだよーっ!!」
「うぉわぁっ!?」
二人…レイアが元気良く、エリーゼがもじもじとしながら自己紹介をし、自己紹介し返そうとした瞬間、エリーゼの肩に乗っていたぬいぐるみ?が大きく口を開いて自己紹介をしてき、思わずそんな声を出して飛び退いてしまった。
近くを見ると先程まで此方を笑顔で見守っていたアンジュすらも驚いたような表情をしていた。
そんな状況にジュードが苦笑いを浮かべながら口を開いた。
「はは……やっぱり初めてだとそういう反応しちゃうよね……」
「えっと……聞きにくいけど……コレって一体…?」
「――てぃ、ティポはティポ…です!!」
「そだよー。そんで、ジュード君や、ミラ君のともだちー」
思わずジュードに苦笑いをし返しながら問うと、ジュードよりも先にもじもじとしていたエリーゼがそう声を出し、ぬいぐるみ?…ティポが僕の前を飛び回ってきてそう言ってきた。
「えっと…いや、そういう意味じゃなくて…」
「うーん…エリーゼとティポが言ってる事は、ある意味間違いじゃないよ。…僕達も、ティポがなんなのかはよく分からないから……。でも、エリーゼの実力はミラのお墨付きだから大丈夫だよ」
二人して苦笑いを浮かべたままそう言っていると、エリーゼ、ティポ、レイア、ミラが微笑を浮かべていく。
「とりあえず……これからよろしく、みんな」
そんな皆に向け、僕はなるべく微笑んでいうと、皆はそれに対して頷いてくれた。
――こうして、改めてリーゼ村のメンバーは、アドリビトムへと加入した。
―――――――――――――
「――……カダイフ砂漠に…?」
「――えぇ、アナタにも手伝ってもらいたいの」
僕の問いに、アンジュは頷いて答えてきた。
話はこうだ。
――ヘーゼル村の一定の人達がウリズン帝国に、遠くにある星晶採掘地へと連行され、強制労働を強いられているらしい。
そしてその村人達を解放する為にユージーンとヴェイグは連行された場所へ、アニーとティトレイはヘーゼル村に残っている人達をリーゼ村の人達同様、建設中のオルタ・ビレッジに移住させる為、船を出た。
そして…二手とも、オルタ・ビレッジに移動する為にはカダイフ砂漠を越えなければならない為、カダイフ砂漠の周辺の魔物の討伐依頼を頼まれてしまった。
「一応他の所にも人員を送らないといけないからメンバーはいつもどおり四人になるんだけど……三人は決まってるから後は一人なのよ」
「うーん……分かった、僕もそっちを手伝うよ。こんな事、放ってはおけないしね…」
「そう……ありがとうね。ただ、気をつけてね。ウリズン帝国が……『サレ』が妨害してこないとは限らないから」
『サレ』……『リバース』に登場した、ヴェイグのライバル的存在の…ある意味、色々と歪んでる人物。以前、エステルを攫おうとしたウリズン帝国の人物もこのサレだったらしいけど……確かに『リバース』上のあの性格からすると、サレが妨害してこないとは限らないだろう。
「――分かった。十分用心しておくよ」
「えぇ、…気をつけてね」
アンジュの言葉に頷いて、僕は準備をする為、一旦部屋に戻った。
――――――――――――
『グモォオォオオオオーッ!!』
「――ッ、魔神剣・双牙ァッ!!」
―――カダイフ砂漠、以前来たときのオアシスルートとは別のルートにて、猪のような魔物『エレノッサス』と、僕は戦闘を行っていた。
『突進』。ただ単純ながら、当たれば強烈なダメージをいただくそれを避け、僕はエレノッサスに向け斬撃を二つ飛ばす。
『グモッ!?グモモォオッ!!』
「くそ……なら……っ!!」
放った二つの斬撃はエレノッサスに直撃するが、エレノッサスは怯む事無く再度こちらに向けて突進してくる。僕は小さく舌打ちしてしまうが、直ぐに次にどうするかを判断し突進してくるエレノッサスに木刀を持つ右手とは別の左手を向ける。
大丈夫だ……いけるっ!!
「雷よ…爆発しろ…!――『ライトニングボム』っ!!」
『グモォオォオオオオーッ!?』
僕の言葉と同時に向けた左手から数個の雷の玉が現れ、突進してきたエレノッサスがそれに触れた瞬間、雷の玉の一つが爆発を起こし、その一つから更に一つ一つと雷の玉が連鎖爆発を起こし、エレノッサスにダメージを与えて吹き飛ばす。
吹き飛んだエレノッサスは、それが効いたのか奇声を上げて動かなくなった。
「ふぅ……なんとかなったか…」
「――へぇー…雷系魔法か…随分、様になってんじゃねーか」
エレノッサスが動かなくなったを確認して一息ついていると、先程まで別のモンスターと戦っていた今回の同行メンバー…ユーリ、すず、メリアが此方に向かって歩み寄りながらそう言ってきた。
「うん…ヴォルトのおかげでね。始めは上手くはいかなかったけど、なれてきたら意外に上手く出来てきてね」
「なるほどねぇ…。精霊を使役したら、その精霊の魔法を使えるようになる、とは噂には聞いてたが…マジだったんだなぁ」
「慣れてきた…それだけで先程の威力とは…。衛司さんは凄いんですね」
「はは…僕は凄くないよ。ただ、ヴォルトの魔力が凄いんだよ」
僕の言葉に、どこか楽しげな笑みを浮かべて言うユーリと、驚いたような様子を見せるすず。
確かにヴォルトの魔法は凄いけど…ただその威力故に、体力消費がハンパない。先程の『ライトニングボム』一発だけで今軽く体が怠くなっているのがそれである。
一応…今僕の体の中にいるヴォルトがサポートして幾分かの疲労を減してはくれているんだけど…もしヴォルトがいなかった時に発動する所を考えるとちょっとゾッとしてしまう。
因みに一応、この雷系統は剣技にも利用出来てそっちの方は魔法に比べると全然疲労感は来ない。うーん…剣術の方が慣れてるから、かな…?
「(ともあれ……ありがとう、ヴォルト)」
『(――主の為ならば――)』
心の中でヴォルトに感謝すると、頭の中に響くようにヴォルトの声が聞こえた。うん、これも当初は驚いたけど、慣れれば意外と楽しかったりする。
「……衛司……はい……」
「ん……ありがとう、メリア」
「…………♪」
不意に、僕の様子に気付いたのかこのメンバーの中でアイテム袋を持っているメリアが僕にミックスグミを渡してきた。
グミを受け取り、食べると不思議なまでに体力や疲労感が回復してきた。
僕は小さく笑ってメリアの頭を撫でると、メリアは嬉しげに表情を緩めた。うん、普通に可愛い。こうしてみるとメリアって、兄思いな妹…かな?こういう妹がいればなんかシスコンになっちゃいそうだけど。
「――それにしても…改めて思えばこの砂漠…一般人にはかなりきついだろうね」
「まぁな…この環境じゃあ、年齢とか男も女も関係なしに厳しい砂漠越えになるだろうな。…それに加えてさっきみてぇに魔物もわんさか出やがる。命懸けもいいとこだ」
「ここまでの事態を引き起こしたのは、帝国です」
砂漠を見回して出した僕達の言葉に、すずが顔を俯かせてそう言葉を出した。それを見てユーリが小さく溜め息を吐いて口を開く。
「オレが、ガルバンゾのギルドにいた時は、オレの知る世界は、住んでた場所だけだったな。帝国の事は知ってたが、よその国や、世界の動きなんざまるで見えていなかった。…本当、何でも見渡せる自由のギルドだな。アドリビトムってのは」
「うん。何でも見渡せるからこそ気付くことが出来て、自由だからこそできることがある。だからこそ…今僕達は他の人達に出来ない事をして、人を助けなきゃいけないんだろうな」
「あぁ、全くだ。ディセンダーのメリアだけじゃねぇ。イレギュラーの衛司だけでもねぇ。――俺達、アドリビトムの皆でな」
僕の言葉に、ユーリはニッと笑うと僕とメリアの頭を少し乱暴に撫でてきた。何だか変な感じだけど…嫌な感じではなくむしろ心地良い感じだった。
僕達はそのまま少し笑うと、カダイフ砂漠の奥へと進んだ。
―――――――――――――
――あの後、やけに大きめな蟻地獄に落ち掛けたり、サンドワームの群れと遭遇したりしたけど、なんとか砂漠の抜け道となる道の前まで来ることができたんだけど……
『キシャシャシャシャシャシャーッ!!』
「――……マジ?」
「あぁ…現実逃避してぇのは分かるが、マジだな」
――目の前の現状に思わず出してしまった僕の言葉に、ユーリがそう言葉を出した。
今、僕達の目の前には…抜け道への道を、一見岩のようにも見える甲殻と、大きなドラゴン系モンスターの頭の骨のような尻尾を持った巨大なサソリ型の魔物……『ティランピオン』が塞ぐように立っていた。
「これがティランピオン……これを倒せば、村の人達が安心して砂漠を通れるんですね」
「あぁ……んじゃま、油断せずに行きますかっ!!」
「ぁー、もうっ……行くよメリア、ヴォルトっ!!」
「……ん……っ!!」
『(――了解です、主――)』
僕達はそれぞれ武器を構え、ティランピオンとの戦闘を開始した。
――ただ、何者かが僕達を傍観している事には気付かずに――
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