戦国異伝供書
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第八十一話 朝倉合戦その九
「それと共にじゃ」
「あの御仁は傾奇者であられる」
「そうした御仁であられる」
「そのことを踏まえてご覧になられれば」
「織田殿は」
「すぐに大きくなりじゃ」
そしてというのだ。
「天下人になられるやもな」
「天下人ですか」
親貞はその話を聞いて述べた。
「それはまた」
「突拍子もないことであるな」
「今あの御仁は尾張一国の主であられますな」
「六十万石のな」
「結構以上な勢力ですが」
それでもというのだ。
「そこからです」
「だからより勢力を拡大されてな」
「そして、ですか」
「上洛を果たされ何百万石もの大身になられ」
そしてというのだ。
「そのうえででじゃ」
「天下人にもですか」
「なられるであろう」
「左様ですか」
「そしてじゃ」
元親はさらに話した。
「この四国にもな」
「出来ればじゃ」
元親はこうも言った。
「織田殿が来られるより前にな」
「四国を、ですな」
親泰が言ってきた。
「出来るだけ」
「うむ、手中に収めたいのう」
「そして四国の主となられ」
「織田殿とお話がしたい、ただわしはな」
「織田殿とはですな」
「上洛は考えておるが天下はな」
そこまではというのだ。
「考えておらぬ」
「だからですな」
「織田殿が天下人になられるなら」
それならばというのだ。
「わしはじゃ」
「それでよいと」
「そう考えておる」
こう言うのだった。
「あの方とお会いして天下人の器だと思えばな」
「その時は、ですか」
「それで終わってじゃ」
そうしてというのだ。
「そのうえでじゃ」
「当家はですな」
「この四国をな」
「治めるのですな」
「そうする」
まさにというのだ。
「織田家が来る前にな」
「それは幾ら何でもです」
「十年やそこいらではいかぬ話でしょう」
「幾ら織田殿が出来物でも」
「瞬く間に天下人となられ」
「この四国に来られるなぞ」
「流石に」
弟達はそれは現実的ではないとした。
「確かに瞬く間に尾張を統一され」
「非常に見事な政も行なわれている様ですが」
「東に今川家がいて」
まずはこの家が挙げられた。
「美濃の斎藤家も強いです」
「その中で勢力を拡大することは」
「かなり難しいかと」
「普通に考えればな、しかしな」
それはというのだ。
「わしは織田殿ならばじゃ」
「果たされる」
「そう思われていますか」
「必ず天下人となられる」
「その様に」
「だからな」
それでというのだ。
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