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戦国異伝供書

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第八十一話 朝倉合戦その二

「無闇に殺してはならぬ、それに無駄な殺生自体じゃ」
「してはなりませぬな」
「だからじゃ」
 このこともあってというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
 親泰は兄に確かな声で応えた。
「それでは」
「その様にな」
「攻めていきましょうぞ」
「そうしていくぞ」
「ではこれより」
「支城を全て攻め落とす」
 こう言ってだった。
 元親はまずは支城を攻めていき次々と陥落させていった、そうしてそのうえで朝倉城だけにしたが。
 ここでだ、元親は将兵達に話した。
「城攻めの前にじゃ」
「その前にですな」
「まずは、ですな」
「この度は」
「たらふく飯を食いよく休んでじゃ」
 そしてというのだ。
「よいな」
「はい、それでは」
「城攻めの前にですな」
「食い休み英気を養う」
「そうしますな」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「万全の調子で戦える様にするぞ」
「わかり申した」
「それではです」
「飯を食い寝て」
「英気を養いまする」
「腹が減っては戦は出来ぬしじゃ」
 元親はさらに話した。
「それにじゃ」
「寝ておらぬとですな」
「どうしてもですな」
「力が出ませぬな」
「身体が疲れて」
「そうじゃ、だからな」
 それでというのだ。
「ここはじゃ」
「はい、休みましょう」
「ここは」
「そしてたらふく食いましょう」
「今は」
「そうするとしよう」
 こう言ってだ、そのうえでだった。
 元親は今は兵達に飯を食わせ休ませた、彼は自分も飯をたらふく食った、そうしつつ弟達にこうしたことを言った。
「美味いのう」
「はい、干し米ですが」
「それでもですな」
「美味いですな」
「こうしたものでも」
「うむ、戦の場で食うものは何でも美味いのう」 
 親泰にも親貞にも話した。
「それがどれだけ粗末なものでもな」
「常に動き」
 親泰が言ってきた。
「そして何時死ぬかわからぬので」
「だからじゃな」
「戦の場で食う飯は美味いですな」
「全くじゃ、味噌もな」
 元親はそれも食いつつ言った。
「美味いのう」
「はい、干し米に味噌に」
 親貞はさらに話した。
「魚の燻製もありますが」
「どれもな」
「まことに美味いですな」
「そうじゃな、だからな」
「今は、ですな」
「たらふく食ってじゃ」
 そしてというのだ。 
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