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真似と開閉と世界旅行

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散策〜

 
前書き
次回は早めに投稿すると言ったな?アレは嘘だ。・・・ごめんなさい!!話思い付かなくて・・・ではどうぞ! 

 
・・・俺がやってきたのは48層主街区《リンダース》・・・ここにやって来たのには事情があり・・・

「よし、ついた。リパル、こっからは俺だけに声が聞こえるよう調節しとけ」

『(了解ッス!)』

俺は水車が緩やかに回っている店・・・《リズベット武具店》のドアを開く。

「いらっしゃ・・・あれ、サキじゃない?」

「やっほ、リズ」

店に入るとピンクのショートヘアの少女がいた。彼女はリズベット。鍛冶屋を営んでいて、俺とアスナの友人・・・尚且つ俺達は彼女のお得意様でもある。

「今日はどうしたの?珍しくアスナと一緒じゃないみたいだし・・・」

「ああ、うん。ちょっと整備をお願いしたくてね」

俺はそう言って方天画戟を取り出し、リズに渡す。

「っと・・・まだ余裕あるじゃない。ちょっと早くない?」

「知ってるだろ?俺は耐久値は半分切る前に整備しときたいんだよ」

「・・・ま、いいか」

「今は忙しくないのか?」

「うーん・・・まあ、少し仕事はあるけど・・・」

「・・・じゃあ、後でもいいよ?」

「んー・・・いいわよ。これくらいならすぐ終わるから」

「ありがとう。お礼に後でパフェおごるよ」

「何時もの奴ね」

「もちろん」

店の奥に入り、リズは方天画戟を台に乗せる。・・・そう、リパルに音声調節を頼んだのは、彼女が方天画戟に触れてしまっているから。詠や亞莎と違い、リパルだけはその体・・・方天画戟、鎌、ダークリパルサーのいずれかに触れば声が聞こえるようになる。・・・いきなり武器の言葉が聞こえたらリズも仰天するし、説明もややこしくなるので、リパルには気をつけろと言ってある。

「取りあえず座ってていいわよ」

「うん」

俺は置いてある丸椅子に座る。リズは既にがっちり装備を整え、研磨を始めている。俺はそれを見ながら・・・

「なあ、リズ」

「なにー?」

「一撃でHPバーを削りきる貫通武器って造れる?」

「はぁ!?(ギャリィッ!)ああ!?」

『(ぎゃーッス!!)』

反応したリズの手がぶれ、方天画戟が削られる。

「あ・・・ご、ごめんリズ(あとすまん、リパル)」

『(うう・・・だ、大丈夫ッス)』


「焦ったぁ・・・で、何よいきなり」


「いやさ、リズならそんな装備も造れるかなーって」

「・・・無理よ。貫通ダメージ持った武器なんて大体低ダメージよ。前に一度作ったけど・・・・・・微妙だったわよ」
「じゃあ・・・その貫通ダメージ自体の底上げは?」


「それも高が知れてる。・・・一体どうしたの?いきなりそんなこと・・・」

俺は苦笑して首を振る。

「・・・ううん、何でもない。作業の邪魔してごめん」

「?う、うん・・・」


しばらくして、リズが方天画戟を持ち上げる。

「・・・よし、これでどうよ」

リズから受け取り、軽く体の周りを動かすように方天画戟を回す。

「・・・さっすがリズ。心なしか別物みたいだよ」

『(生まれ変わった気分ッス~)』


「(何回生まれ変わってんだよ・・・)」

俺はメニューから整備のお代を数割増しにして払う。

「ちょ・・・多くない?」

「情報提供と順番優遇の気持ちさ。・・・あ、ちゃんとパフェもおごるからな?」

「あたしはそんなにがめつくないってば」

「あはは・・・んじゃ、後で時間が開いたらメッセージを送って。俺は基本ソロだから何時でも大丈夫さ」


「ん、了解。・・・あ、そうだ。そろそろそのマントも耐久値が下がってるでしょ。前に頼まれたの、作っておいたわよ」

「お、サンキュー」

そんなこんなで俺は外に出る。

「やっぱりあり得ない・・・か」


『いいんスか?リズさんに事情を話さなくて・・・』

「・・・リズ、あの店買うのに凄い努力をしたんだよ」

『・・・?そ、そうッスね』


「だけど、もしこの圏内事件の話が広まったら、客足だって遠くなる。客がいなくなったらリズがやって来た事が無駄になるかもしれない。そんなのは・・・」

『・・・でも、人の命には・・・』

「分かってるよ。でももう・・・親しい人の悲しい顔は見たくないんだよ、俺は」

一応リズには戸締まりをしっかりするようには伝えた。

「・・・ったく、何で俺がいく世界には死が付きまとうんだ・・・一回くらい、死と無縁だっていいじゃないか・・・」

『咲さん・・・』

「・・・悪い、ちょっとヘタレたな。さて・・・っと」

既に夕方の空を見上げた時、メッセージが届いた。

『・・・詠さんからッスね』


「何々・・・『ヒースクリフとの対談は無事終わり、結論としては全ての推測はヒースクリフによって否定されたわ。ただ・・・彼の言葉で情報を集めることになって、キリトから槍を取ったシュミットに話を聞きにいって・・・シュミットをヨルコに会わせることになったから、サキも来て』・・・また何でいきなり」
『情報が間違ってないかどうかじゃないッスか?もし情報が食い違えば・・・』

「ヨルコさん、もしくはシュミットが怪しくなるわけか。・・・場所はヨルコさんのいる宿。急ぐぜリパル」


俺達は再びマーテンに到着し、見慣れた顔を見つけた。

「詠!」

「あ・・・来たわね」

「ああ。みんなは」

「宿屋よ」

詠はそう言って指輪と同化する。

『お疲れ様ッス!』

『ええ。そっちも咲のお守りお疲れ』

「(お守りって・・・)」

宿屋に入るとすぐにアスナ達がいた。

「アスナ」


「あ、サキ」

「貴様は・・・」

端にいた男・・・シュミットが俺を見るなり顔を険しくする。

「どーも。俺のことはご存知で?」

「・・・聖竜連合のメンバーは五人連続で打ち負かし、妨害工作を行なった男」

「・・・間違っちゃいないな」

「“漆黒”と“閃光”とは・・・」

「お前、何処に行ってたんだ?」

「ちょっと野暮用ついでに、な。遊んでた訳じゃねえから安心しな」



取りあえず武器を持たせず、二人を会わせる。リパルには宿屋内に不審人物がいないかサーチさせ、俺達三人も三方向から見渡せる位置にいた。シュミットはフルプレートを着込み、ヨルコさんは俺と同じように着れるだけ着込んでいた。やはりお互いに不安は拭えないようだ。しばらくは普通の世間話をしていたのだが・・・やはりお互いに犯人はグリムロックだと思っていたのか、どんどん感情が籠っていく。

「グリムロックはどうして今更カインズを・・・売却に反対した三人を全員殺す気なのか?オレやお前も狙われているのか!?」

・・・その言葉に有ったのは・・・恐怖。だが対称的にヨルコさんは冷めていた。

「リーダー自身の復讐なのかもしれないじゃない?圏内で人を殺すなんて、普通のプレイヤーにできるわけないんだし」

「(・・・?)」

「な・・・」

シュミットは口を開くが、言葉は出ずに金魚のようにパクパクさせるだけだ。

「私、ゆうべ寝ないで考えた。結局のところ、リーダーを殺したのはギルメンの誰かであると同時にメンバー全員でもあるのよ」

ヨルコさんはちらりと左右にいる俺とキリトを見てから、椅子から立ち上がり、窓に向かって後ろ歩きをする。


「あの指輪がドロップした時、投票なんかしないでリーダーの指示に任せればよかったんだわ。ううん、いっそリーダーに装備してもらえばよかったのよ。剣士として一番実力があったのはリーダーだし、指輪の能力を一番活かせたのも彼女だわ。なのに、私達はみんな自分の欲を捨てられずに、誰もそれを言い出さなかった。いつかGA(ゴールデンアップル。黄金林檎の略称)を攻略組に、なんて口で言いながら、ほんとはギルドじゃなくて自分を強くしたいだけだったのよ」

そのままヨルコさんは窓枠に腰掛けるようにしながら、付け加える。

「ただ一人、グリムロックさんだけはリーダーに任せると言ったわ。あの人だけが自分の欲を捨てて、ギルド全体のことを考えた。だからあの人には、多分私欲を捨てられなかった私達全員に復讐して、リーダーの敵を討つ権利があるんだわ」



「(・・・復讐する権利なんか・・・誰にもねぇよ・・・)」

俺は顔を逸らす。あまり長く話を聞く気になれなかった。

「・・・・・・冗談じゃない。冗談じゃないぞ。今更・・・半年も経ってから何を今更・・・」

シュミットは叫び始める。

「お前はそれでいいのかよ、ヨルコ!今まで頑張って生き抜いてきたのに、こんな、わけも解らない方法で殺されていいのか!?」

その言葉にヨルコさんはなんて返すか・・・そう思った時。

トン

「・・・え?」

乾いた音がして、顔を上げると・・・ヨルコさんも目を見開き・・・その身体が大きく揺れ、窓枠に手をかけた時・・・信じられないモノが目に入った。

「な・・・!」

ヨルコさんの背中に何か・・・黒い棒のようなものが刺さっていた。すぐにダガーの柄だと理解したが・・・一体どこから!?

「あっ・・・!」

アスナが声を上げる。再びヨルコさんの身体が揺れ・・・窓の外に消えた。キリトがすぐに駆け寄るが・・・

「ヨルコさん!!」

カシャアン、と破砕音が聞こえた。・・・何の音かなんて・・・嫌でも判る。その時、宿屋の窓から離れた屋根の上に・・・漆黒のフーデットローブが付いた黒衣にに全身を包んだ人影があった。

「・・・んの野郎っ!!」

俺はキリトを避けるように窓枠に足をかけ、跳ぶ。

「サキ、ダメよ!」

アスナの制止を振り切る。くそっ、あそこまでリパルのサーチは届かない!

「ふざけやがって・・・!」

『ちょっと!下手に深追いして咲までやられたらどうするのよ!』

『そうッス!ここは・・・!』

「逃がせるかよ・・・!方法はどうあれアイツはヨルコさんを・・・!くそっ、近くにいながら情けない・・・」

『だけどアイツは圏内の防止コードを抜いたのよ!?しかもHPを一撃で0にした・・・危険よ!』


「当たらなきゃいいんだろ!」

二つの漆黒の人影が屋根を駆ける。目撃したプレイヤーは何かのイベントかと勘違いするだろう。

「くっ・・・」

足の速さは同じ・・・いや、俺の方が遅い。

「だったら・・・」

俺は細い路地に飛び込み・・・壁を三角飛びのように連続で蹴る。色々重力無視だが、今は野暮なツッコミは無しだ。ある程度近づき、捕まえようとした時、人影が懐に手を入れた。

「・・・!」

またあのダガーかと思ったが・・・人影の手に握られていたのは・・・転移結晶。

「なろっ・・・!」
俺は咄嗟に亮から貰ったクナイを取り出し、投げる。プロテクトに弾かれようと、少しビビってくれれば追い付ける・・・!


ガキン!

・・・だが、人影はまったく動じない。直後に飛来してきたピックも弾かれる。・・・どうやらキリトも追ってきてたようだ。

「たぁっ!」

壁を強く蹴り、空中で前転しながら屋根に飛び乗る。ならせめて転移先でも・・・!



ゴーン・・・ゴーン・・・


「・・・!」


だが耳に飛び込んできたのは鐘の音。今午後五時を告げる鐘がなったのだ。そして・・・目の前から人影が消え失せた。何も聞こえる事はなく・・・

「くそがっ!」

俺は男が消えた位置に拳を振り下ろす。

「リパル!プレイヤーデータもしくは転移先は!?」

『だ、ダメッス!どちらも取得前に逃げられたッス!』

「・・・!!みすみす・・・目の前で・・・!」

「・・・サキ」

「・・・」

俺は立ち上がる。

「・・・とにかく、ヨルコさんが・・・やられた位置にダガーが落っこちてるだろうから・・・回収して戻るぜ・・・」

「・・・ああ」


どうなってるんだ・・・ヨルコさんには通ってあの人影には通らなかった。俺は混乱しながら宿屋に戻っていった・・・

 
 

 
後書き

「まだ終わらないのか・・・」


「つか、何でリズベット出たんだよ・・・」


「MOREDEBANの効果か、もしくは作者の贔屓か・・・」


リズベット
「贔屓とか言うな!」


「あ、いたんだ」

リズベット
「いたんだ・・・ってあんたねぇ」


「ちなみに作者は詠と口調が被りそうで最初の会話で挫折しかけたらしい」


「なんじゃそりゃ・・・」


「・・・出番欲しいな」

シリカ
「・・・(ワクワク)」←看板二枚持ち。


「・・・あそこまでしなくていいかな」

「はは・・・それじゃ、また次回!・・・いい加減圏内事件終わんないかな」

 
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