異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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そんな馬鹿な
今の魔力の量では勝てない。
俺はそう分析した。
それも俺自体の魔力が満タンでも難しい。
時間内での回復量を足してもまだ足りない。
この魔法をどうにかするのに今すぐ必要な魔法を作り出しても発動させるだけでもかなりの量になる。
ポーションでさっきは少しでも足しにしたが、これはどうすればいい。
ルーシーたちは全員沈黙している。
もう手立てがない。
だがもしもの事を考えると、そう俺は思って、
「ルーシー、ルーシーだけでも俺は逃がす。いや、ここにいる俺以外全員か」
「! ユウスケ!」
「ルーシーさえ残っていれば何とかなるだろう?」
そう俺は問いかけた。
それにルーシーさえいればこの世界は……そう思った所でルーシーは、
「だ、だって私ユウスケを再生できる自信がない……」
「そう、か……」
「ほ、他に何ができる? 私に何ができる?」
「……異世界人が何人呼べる? すぐ呼べるか?」
「む、無理、呼び出すには幾つもの手続きが必要で……で、でも今急げば一人くらいなら……」
「“俺”が五人くらいいないと無理だ」
その言葉にルーシーは絶句したようだった。
けれどすぐに、
「魔力、魔力を使ったらすぐ回復……」
「五人分ぐらい、可能か?」
「……世界の回復魔力量……でもユウスケ個人の魔力回復速度と量は明らかにそちらの方が多くて……今の私達の分をまとめても間に合わない」
そこで黙ったルーシー。
と、メサイヤが、
「特性ポーションでは足りないか? とりあえず今、ユウスケが抑えている状態だから回復はさせておく」
それにエリカが私もユウスケに魔力を、という。
二人の手が肩に触れ、次にキャサリンも触れて、サラにルーシーが触れようとしたところで俺は、
「ルーシーは力を温存しておいてくれ。他の皆を連れて逃げるんだ」
「でも……」
「それに何か妙案が俺の魔力が尽きる前に浮かぶかもしれないし」
「……ユウスケ、今減っている魔力の量が満タンに回復するのはどれくらい?」
「着々と減っているが、一週間はあれば空でも回復すると思う」
「だったら私が、ユウスケの魔力量を禁忌の魔法に当たるけれど、異常事態と定義して5236条の1項より、“未来”と同期して……」
そう震える声でルーシーが言った。
追い詰められているから、そういったことを口走ったのだろうけれど。
それは俺の中の“思考”にヒントを与えた。
そしてそれは『思いついた時点で、その未来は“確定”する』。
俺の特殊能力(チート能力)は俺の意志によって、発動する。
気づけば俺の背後に、十人ほど“誰か”がいた。
どうやらルーシー達よりも更に後ろだったらしい。
俺の唇が笑った。
同時に声がかけられる。
「後から追認、という形になっているが“ルーシー”の許可はとっている」
「そうなのか。これくらいいれば、“大丈夫なのか”」
俺はかけられた、とても聞き覚えのある声にそう返される。
するとそれに対し同じ場所から声がした。
「余裕がある程度には。だが不測の事態に備えてこうなったよ」
「分かった」
「それと“次”はお前が、“この説明”をするんだぞ。何度もするのは嫌だからな」
「そうだな」
そう俺は笑って振り返る。
ルーシーたちは唖然としたような表情でそちらの方を見ている。
そこには俺が、十人ほどいた。
“未来”の回復した俺を召喚した。
その“未来”間での滞在と、今回の手伝いは“決定”してしまっているが。
けれど今の終了するかもしれない結末よりはよほどいい。
そして俺は、
「では、攻撃に移ります」
そう告げた。
そして俺の特殊能力によって使われた魔法にいくつもの魔力が重なって、ようやく食い止めるのを止めたからどう、攻撃に移ろうとした“敵”が目を見張る。
「馬鹿な。そんな馬鹿な!」
「本当だよ。でも……どうやら俺には幸運の女神様がヒントをくれたらしい」
そう返した所で幾つもの魔法陣が強く輝くとともに、かすかな断末魔が聞こえて……その敵は消滅したのだった。
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