異世界転移した最強の俺、追放されたSSS級冒険者(美少女)を拾う
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“無個性”を形にしたような
そこにいたそれは、“人”のような形をしていた。
以前感じた“無個性”を形にしたようなそんな存在だった。
だが、ここで俺はある疑問が俺の中に生まれる。
「まるで俺達を待っていたかのように見えるが、どういうことだ?」
「……お前が“見えた”。だがそれには奇妙な“魔法”を感じた。だから待っていた」
そう答える得体のしれない“敵”。
どうやらこの“敵”は俺が未来から過去に干渉した時、“見た”ために警戒をしていたらしい。
そして“俺”そのものの異常性にも何か気づいたらしかった。
と、この得体のしれない“敵”が俺達に向かって、
「だがやはりこの世界の“魔法”を“使う”と“不完全”になるようだ」
「“不完全”だと?」
「私はこの世界の存在ではないから、この世界に“影響”を与えて臨む変化を生じさせられるが……その望んだものはお前たちの“魔法”とは“不完全”に発動するようだ」
「……“不完全”、だから俺達がこの前の都市を吹っ飛ばす計画に俺達が参加すると見えなかった」
この前会ってルーシー自慢の未来予測システム……への干渉により覗き見た情報には俺達はいなかったらしい、という話が合った。
どうやらこの怪物の能力……この世界の“魔法”を“変質”させて“干渉”させるものでは正常にその魔法が機能しなかったらしい。
おかげで俺達はその場に存在でき、その破壊活動は未然に防げた。だが、
「この世界の魔法の“変質”がお前の能力なのか」
「“変質”、そう、“変質”だ。それ故にすべての“魔法”に“干渉”し、“この世界の物”はすべて、“魔法”は、引き起こせる」
そう目の前の人物はまるで、ようやくその事に気づいたかのようにとぎれとぎれに言う。
だがそれを言うのを聞きながら俺は自分の能力に似ているのと同時に、あれほどまでの奇妙な魔道具や、操る魔法といったものを簡単に引き起こせた理由に気づく。
この世界に存在する魔法を全て彼もまた使えるのだ。
ただそれらは、この世界の物ではない“力”が影響するため、“不完全”になるようだが。
喩えるならば、使用に耐えたとしても、似た部品を使った場合同じような性能が出るとは限らない。
だがどうしてこの能力に俺は今まで気づかなかったのか?
分析はたくさんしてきたのにと俺は思う。
とそこでルーシーが、
「なるほど、“この世界のもの”出ない力を使っていて、それがこの世界の“魔法”に“干渉”していなければ、ただ“知らない物”がそこにあるだけで、それ故に“認識”がされなかった……だからユウスケも気づかなかった」
「なるほど。俺が“知っている”のは“この世界の全て”になるから、それ以外は探知できなかったと」
ルーシーの言葉に俺は頷く。
それにさらにルーシーが、
「そして不完全だからユウスケをこんな近くまで近づけさせた。危険が分からないから」
と、自信ありげにルーシーが言う。
だがそれに対して目の前のこの存在は、
「違う。私は私の手の内で、“危険な敵”を準備して排除しようと決めていた」
その時俺は俗吏と背筋が総毛だつのを感じた。
同時に、その怪物の周りで人影のようなものが地面から浮かび上がる。
それらは……俺達が遭遇した、操られた冒険者たちが何人も……。
武器や魔法を使う仕草をして、そして、
「行け」
この得体のしれない怪物が命令し、俺達にそれらが襲い掛かる。
人間相手ではない戦いであったため、思う存分戦えるのは良かったといえるのかもしれない。
倒すごとに霧散して消えてしまうそれら。
俺達はそこそこったたかったと思うが、そこである奇妙さに気づく。
呼び出す敵の量がどんどん増えている。
「なんでこんなに増えているんだ? 敵の魔力量はどうなっているんだ?」
メサイヤがそんな悪態を吐いた所で、ある予感を覚えた俺は……背筋に寒気が走る。
すぐに俺はある魔法をを使った。それは、
「“ステータス・オープン”」
そう告げて魔力の量を見て俺は、絶望的な気持ちになった。
そんな俺の様子に気づいたらしいエリカが、
「どうしたのユウスケ」
「……この敵、今の俺の十倍以上の魔力がある」
そう答えたのだった。
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