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レーヴァティン

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第百四十七話 捕虜と外交その五

「そして諸都市群はですね」
「都市国家の集合体だからな」
「確かに全く違いますね」
「ああ、その違う国を全部中央集権国家にしていくんだな」
「帝国に組み入れていきますね」
「そうするって考えて見れば凄いな」
「そうですね、ですがそれがです」
 夕子は久志に真面目な顔で話した。
「まさに」
「戦でか」
「私達がまず為すべきことです」
「この浮島の統一か」
「そうです、しかもです」
 夕子はさらに話した。
「それが目的ではないです」
「魔神を倒すことが目的だからな」
「はい、ですから」
「ここで戸惑っていたらな」
「駄目かと」
「そうだよな」
「厳しいことを言う様ですが」
「いや、俺達のやるべきこと考えたらな」
 それならとだ、久志は夕子に返した。
「そうなるよな」
「そうですね、では」
「ちゃんと国も治めていくか」
「最も統治しやすい仕組みにしていって」
「そうしていこうな」 
 こう話してだ、そのうえで。
 久志はまずは二つの街に送った使者達が帰って来るのを待った、そしてどちらも吉報を持って帰ってきた。
 それでだ、久志は笑みを浮かべて言った。
「よし、これでな」
「敵の主力は袋の鼠だね」
「負けて疲れきっていてな」
「武器もかなり失っていてね」
「兵糧もじきに切れるな」
「そうした軍隊になったね」
「正直に考えて終わりだよ」
 まさにとだ、久志は話した。
「だからな」
「ここで使者を送るね」
「降伏勧告のな」
「まるで詰み将棋だね」
 淳二は久志との話からこうも言った。
「二つの街を降して次は敵の主力を降す」
「そしてな」
「今度は国自体を降す」
「まさにな」
「詰み将棋だね」
「そうだな、じゃあな」
 これからとだ、久志は話した。
「敵の主力にも使者を送るな」
「そうするね」
「降れば連中は俺達の軍に組み入れる」
「一気に七万の兵が手に入るね」
「その分の兵糧もあるしな」
 そちらは大丈夫だというのだ。
「セビーリャに兵糧もこれでもかと集めてるからな」
「多めに集めておいてよかったね」
「何かあった時に備えてな」
「本当によかったね」
「全くだな、だからな」
「降ればね」
「即座に川から船を使って兵糧を運ばせてな」
 そうしてというのだ。
「七万の軍勢も食わせるな」
「そうするね」
「降った敵軍はこちらに組み入れる」
「そうして自分達の戦力にしていくね」
「これまで通りな、じゃあな」
「今からだね」
「使者を送るな、ただ降らないならな」
 その場合のこともだ、久志は話した。 
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