治った目で
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第一章
治った目で
大学生の古田美穂は春休みの中のこの時家の庭の方から猫の鳴き声を聞いた、それで母の好美に言った。
「お母さん、猫の声聞こえない?」
「ミーコちゃんの声じゃないの?」
「寝てるわよ」
美穂は家で飼っている猫であるミーコを見た、見れは今美穂がいるリビングのソファーの上に少し濃い灰色の毛の長い丸い感じの雌猫が寝ている。
「だからね」
「ミーコちゃんじゃないの」
「間違いないわ」
その垂れ目が目立つ顔で言う、色白で面長で黒髪を長く伸ばしている。眉は細く長く一六三程の背でスタイルは普通位だ。
「そのことは」
「じゃあ誰かしら」
「お庭の方から聞こえるから」
「そうなの、じゃあ」
「お庭の方に行ってくるわ」
「お母さんも行くわ」
好美も言ってきた、見れば顔は少し皺があり髪の毛は後ろで食べていて少し白髪があるが顔もスタイルも娘そっくりだ。その二人がだった。
庭に出ると薄い灰色の青い目の猫がいた、好美はその猫を見て言った。
「リカちゃんじゃない」
「知ってるの?」
「この辺りの野良猫でね」
それでとだ、好美は娘に話した。
「女の子で。この前子猫何匹か連れてて皆山田さんが引き取ったの」
「そうだったの」
「それでリカちゃんも里親探そうって話になってたけれど」
「それじゃあ」
「うちもって考えていたけれど」
好美は何か必死に自分達に訴える様に鳴いているリカを見つつ娘に話した。
「ちょっと様子がおかしいわね」
「そうね、何かね」
美穂もリカを見て思った。
「私達に来て欲しい様な」
「そんな風ね」
「ニャア」
リカはここで庭の奥の物置に顔を向けた、そのうえで鳴いた。
そのリカを見てだった、美穂は言った。
「お母さん、ひょっとして」
「物置に何かあるのかしら」
「そうじゃないの?」
「それじゃあね」
好美は美穂に考える顔で答えた。
「お母さん物置の鍵取って来るから」
「それでよね」
「ええ、中を開けて」
物置のというのだ。
「そしてね」
「物置の中調べるのね」
「何かあるみたいだから」
リカは物置の方と自分達を交互に見ている、そのうえで必死に鳴いている。そのリカを見て言うのだった。
「中を調べましょう」
「ええ、じゃあね」
美穂は母に同意した、そしてだった。
物置を開けて中に入るとだった。そこには。
一匹の子猫がいた、子猫は蹲っている。リカはその子猫のところに駆け寄って二人を見上げてまた鳴いた。
「ニャア」
「リカちゃんの子供みたいね」
「そうね」
母娘で二匹の猫を見て言った。
「何か弱ってるみたいだけれど」
「目をずっと閉じてるわね」
「リカちゃんこの子を助けて欲しいのかしら、私達に」
「それで私達に鳴いていたのね」
「そうね、じゃあ」
それならとだ、美穂はすぐに言った。
「この子助ける?」
「それがいいわね、それでリカちゃんはね」
「うちで引き取るのね」
「お母さんそう考えていたお父さんもいいって言ってくれたし」
それでというのだ。
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