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レーヴァティン

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第百四十六話 マドリードへ向けてその八

「砲撃もそっちに回してな」
「そのうえで」
「勝つぜ、ただな」
「こちらが敵主力であるテルシオを潰していけば」
「敵も馬鹿じゃないからな」 
 だからだというのだ。
「動いてくるぜ」
「やはりそうですね」
「ああ、騎兵隊がな」
 今動いていない彼等がというのだ。
「動いてな」
「劣勢を挽回しようとしますね」
「そうしてくるからな」
 だからだというのだ。
「ここはな」
「敵の騎兵隊が動けば」
「こっちも騎兵隊を動かすな」
「そうされますね」
「そしてそっちでも勝つな」
「そうされますね」
「テルシオは確かに強いさ」
 久志もこのことは認めた。
「ぶつかって勝つのは難しい、けれどな」
「それならぶつからず」
「そしてな」
 そのうえでというのだ。
「遠間からな」
「攻めていけばいいですね」
「それにテルシオは砲兵隊の援護もあってな」
 これもあってというのだ。
「尚更強いな」
「はい、砲撃で敵の前方を崩し」
「そこにぶつかるだろ」
「それが基本戦術ですね」
 この世界のテルシオの戦術はそうなっている、連合王国がわりかし強力な砲兵隊や術を使う者を持っているだけに。
「まさに」
「ああ、それならな」
「事前にですね」
「敵の砲兵隊を叩いたのもな」
「よかたですね」
「空だってな」
 見上げればそちらの戦もだた。
 帝国側に有利となっている、やはり数がものをいった。
「勝ってるしな」
「それでは」
「ああ、空からもな」
「テルシオを攻めていきますね」
「どれだけ堅固でも寄ってたかって攻めればな」
 しかもあえて近寄らず敵の武器である衝撃力を使わせなければというのだ。
「勝てるさ」
「そういうことですね」
「この世に無敵のものはないさ」 
 久志はテルシオの一つが崩れたのを見て話した。
 堅固なテルシオが崩れ兵達が算を乱し逃げていく、それを見つつ言うのだ。
「どんなものでもな」
「弱点があり」
「その弱点を衝けばな」
 それでというのだ。
「敗れるさ」
「そういうことですね」
「ああ、じゃあな」
「これからですね」
「さらに攻めてな」
 そうしてというのだ。
「テルシオ達を潰していくな」
「そうしてですね」
「勝つな、後な」
「後?」
「やっぱり騎兵隊だな」
 久志はまた彼等を見た、とかく今は彼等に動きはない。
 だがそれでもだ、久志は彼等を見て夕子に話した。 
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