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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十一話 張飛、陳宮を庇うのことその八

「オロチが宮廷深くにいます」
「それなら宮廷に誰かを忍び込ませましょう」
 そうするというのだ。
「そしてそのうえで彼等を除く」
「そうしてはどうでしょうか」
「それは基本としていいですが」
 しかしだ。二人の策に徐庶が言い加えてきた。
「目の前の董卓軍はどうしましょうか」
「そうなのです」
 陳宮もだ。そのことを必死に訴える。
「恋殿は戦われたくないのです。今とても辛い気持ちで」
「その呂布殿を何とかしたいのだな」
「恋殿の悲しんでおられる姿は見たくないです」
 その本音をだ。陳宮は関羽に述べた。
「だからこそ」
「そうだな。正直無益な戦だ」
 関羽も言う。
「ましてやそのオロチが背後にいるとなればだ」
「けれどよ」
 ここで荀彧が言うのだった。
「考えてみれば陳宮は呂布の軍師なのよ」
「それがどうしたのだ?」
「だから。罠かも知れないわよ」
 荀彧は張飛に対しても述べた。
「わざわざ敵陣に一人で来るなんて怪しいでしょ」
「確かに。言われてみればな」
 公孫賛も荀彧のその言葉に頷く。
「オロチのことは気になってもな」
「そのオロチがいるのは間違いないわね」
 荀彧はそれは確かだとした。彼女にしても察しているのだ。
「けれどそれでもよ」
「それでもなのだ?」
「そうよ。董卓がそのオロチと結託しているとすれば?」
 こう前置きして話すのだった。
「それでそのうえで張譲もいて」
「あの宦官もなのだ」
「そうよ。それで三者が結託しているとすればどうなのよ」
 これが荀彧の仮定だった。
「私達を罠に仕掛けているんじゃないかしら」
「その可能性は否定できないわね」
 曹操も己の軍師の言葉に顔を向けた。
「正直。オロチの真意はわからないけれどね」
「真意を隠して董卓と結託していることも考えられます」
 荀彧はその可能性も指摘した。
「ですから。おいそれとは」
「ううむ、少なくとも董卓との戦は」
 それはどうするか。袁紹も言及した。
「避けられませんわね」
「そうね。このまま予定通り攻撃ね」
 曹操も軍師として言う。
「そして洛陽まで攻めましょう」
「では。明日は予定通り総攻撃ですわ」
 袁紹はその決断も下した。
「劉備さん、御願いしますわ」
「じゃあ陳宮」
 曹操はその陳宮を見て述べた。
「呂布に伝えなさい。戦場で会おうと」
「そ、そんな・・・・・・」
「お話はこれで終わりですわ」
 袁紹の口調もぴしゃりとしたものだった。
「さあ、お帰りなさい」
「そ、それでは恋殿は」
「ではどうしろというのよ」
 荀彧はその目を顰めさせて陳宮に問う。
「あんたの言う通りにしろっていうの?信じろっていうの?」
「ですからねねは」
「だからね。それはとてもね」
 涙ぐみだした陳宮にだ。荀彧はさらに言おうとする。
 だがここで。張飛が叫んだ。
「いい加減にするのだ!」
「えっ!?」
「どうしたのよ急に」
「どうして皆陳宮の言っていることがわからないのだ!」
 こうだ。荀彧達に抗議するのだった。
「陳宮は嘘を言っていないのだ。それがわからないのだ!」
「だからどうして信じられるのよ」
 荀彧がその張飛に対して言い返す。場は二人に注目する。
 
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