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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第八十話 陳宮、決意するのことその八

「俺は実は」
「悪党ではなかったのです?」
「悪党は悪党だよ」
 それはそうだと返すのは忘れない。
「けれどな。そうした意味じゃなくてな」
「違うのです?」
「実は俺はな」
 山崎は真面目な顔になっていた。
 そしてその顔でだ。陳宮に話すのだ。
「オロチ一族なんだよ」
「オロチ一族!?」
 その単語を聞いてだ。
 陳宮は首を捻った。そのうえで山崎を見上げて問うた。
「何なのです?それは」
「簡単に言えば文明とかそういうのを破壊しようっていう奴等だよ」
「山崎はその一族なのです?」
「とはいって俺はそういう話には興味ねえけれどな」
 オロチであってもだ。彼はそうなのだ。
「それでその匂いをな」
「感じたのです?」
「ああ、ちょっと用があって宮廷に入ってな」
 それでだ。感じ取ったというのだ。
「その時代に匂ってきたんだよ、一族の匂いがな」
「ということは」
 それを聞いてだ。陳宮はだ。
 すぐに察した。これまでの異様な一連の出来事の事情をだ。
 そしてそのうえでだ。こう山崎に話すのだった。
「月殿はまさか」
「多分オロチに捕まってるな」
 山崎も言った。
「それで名前だけ使われてるな」
「ううむ、許せないのです」
「まあ俺はそういう世界を滅亡とかは興味ないんだよ」
「ないのです?」
「だからこっちにいるんだよ」 
 董卓のところにいるというのである。
「まあまさかキムの野郎までいるとは思わなかったけれどな」
「キムさんのところは置いておいてです」
「ああ、それでオロチのことだよ」
 その話が続けられるのだった。
「このままこっちの世界を滅亡させていいかい?」
「そんなのは論外なのです」
 はっきりと言い切った陳宮だった。
「何とかするのです」
「じゃあどうするんだ?」
 山崎は陳宮を見下ろしながら彼女に問うた。
「あんた呂布を救いたいんだよな」
「ねねは恋殿の軍師です」
 これが返答だった。
「それなら例え火の中水の中なのです」
「じゃあ決まりだな」
「もう決めていたのです!」
 両手を力瘤にしての言葉だった。
「恋殿の為です!」
「言ったな。それならな」
「それなら?」
「あんたの思うことをするんだな」
 こう陳宮に話すのだった。
「あんたがしたいことをな」
「ねねは世界が滅亡するなんて絶対に嫌です」
 これは誰もがだった。しかしだ。
 それと共にだ。彼女はこうも言うのだった。
「けれどそれ以上になのです」
「それ以上になんだな」
「そうなのです。恋殿の悲しむ顔は見たくないのです」
 まさにだ。彼女らしい言葉だった。
「何があろうともなのです」
「だな。じゃあ俺はな」
「山崎は?」
「都に案内しようか?宮廷にな」
「それでは時間がないのです」
 だからだ。それはしないというのだ。
「都に行って戻ってだとここでの戦がはじまっているのです」
「明日にでも来るみたいだな」
 山崎もそのことは聞いていた。
 
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