曇天に哭く修羅
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第二部
教官からの報せ
前書き
_〆(。。)
戦闘訓練の開始直後、《クリス・ネバーエンド》は教官の《桐崎美鈴》に対し、《立華紫闇》と戦う許可を求めた。
夏期龍帝祭のリベンジをしたいのだ。
「好きにしろ。どうせ此処に居る中で立華の相手が出来るのはお前と的場、プロヴィデンスの三人しかおらん」
クリスと紫闇は早速体育館の中央へと移動して向かい合い、体をほぐし始める。
そして牙を剥くように笑った。
一人の生徒が結界の発生装置を操作。
すると結界は二人が内部に収まったドーム型のバトルフィールドを形成。
これで戦っている人間の攻撃が外に漏れることは『殆ど』無くなったわけだ。
「ブッ壊してあげるわタチバナシアンッ!」
「やってみな。出来るもんなら……!」
【魔晄外装】が同時に顕現。
クリスは巨大な鎧腕。
それが宙に浮く。
紫闇は紫の腕甲。
不気味に光る。
「ぶちかませぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッ!!!」
鎧腕の指からミサイル。
紫闇は[音隼]で背中から魔晄の粒子を出すと一対の翼を作り、推進力を得て速度を上げながら結界内のフィールドを飛び回った。
爆風や熱は気にせず全て回避。
しかしミサイルは秒刻みで増えていく。
「手数が足りないか、なら!」
クリスは近くに新たな外装を召喚。
巨大なライフルが複数。
「デェェストロォォォォイッッ!!」
銃口が火を吹き、雨のように弾丸を発射。
ミサイルと共にこれ等も躱さなければならないのだが今の紫闇が出しているスピードでは正直キツイものだ。
何せクリスは大量の外装を出せる。
手数がまだまだ増やせるというのだから対戦相手にとっては堪ったものじゃない。
(夏期龍帝祭では余裕が無かったからじっくり見られなかったが本当に反則だな)
紫闇は少し嫉妬する。
魔術師の外装は一つという常識。
このルールを破った存在。
彼等を【特質型】と言う。
紫闇や《黒鋼焔》は稀少であるにも関わらず【異能】は宿らないゴミタイプとされるがクリスのような特質型は稀少な原石と呼ぶ。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
特質型の外装を使いこなせる者は戦闘能力が高い者が多くおり、クリスもそうだ。
しかし紫闇は負ける気がしなかった。
夏期龍帝祭の準決勝。
あの時は体調不良の上に切り札を温存しなければならない縛りに苦しめられたが決勝で全てを見せた今、隠す必要は無いのである。
更に体調も問題無し。
「持ち札を全部切れるんだよ」
背中に有る魔晄の翼。
それが二対に増えた。
【音隼/双式】
紫闇の速度と推進力が通常の音隼より何倍にも増していき、それを活かせる運動能力で織り成される三次元の変則機動はクリスの放つ攻撃を意に介さず余裕で回避。
瞬く間にクリスの懐へと潜り込んだ紫闇にクリスが出した二挺のライフルが銃口を向けるも無駄でしかない。
纏めてはたき落とす。
「よっ」
掌打がクリスの左側頭へ。
「終わりだ」
彼女は脳震盪/のうしんとうで倒れた。
教官の美鈴が試合を終わらせると紫闇は外装を消し、結界に開いた穴から外へ。
「退院したばっかなのに良い感じだな」
《的場聖持》の言葉に紫闇が笑う。
それから特に何事も無く訓練が終わる。
美鈴は全員を整列させ話を始めた。
「今月下旬に開催する【日英親善試合】だが今年は日本で行う。そして栄えある今回の日本代表校に選ばれたのは我が【龍帝学園】だ」
美鈴の報せに生徒が騒ぐ。
在校生としては鼻が高い。
紫闇達は興味無かったが。
「相手が強けりゃまあ」
《エンド・プロヴィデンス》や聖持もそう。
気にするのは相手の実力のみ。
(的場、プロヴィデンスの二人は立華が準優勝してからやっと少しマシになったからな。この調子で《江神春斗》も親善試合の流れに引っ張り出したい。《橘花翔》も加われば一年だけで選手が揃うかもしれん)
日英親善試合は殆ど4年か5年が出る。
一学年違うだけで【古神旧印】の平均完成度が全く違うだけあって実力も比較にならないほど高いのが当たり前。
そんな中、美鈴は親善試合のメンバーに一年が多く選ばれることを期待した。
(会長の島崎や副会長が参加しない限りは大半が一年になりそうだからな)
一年だけなら快挙である。
後書き
_〆(。。)
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