レーヴァティン
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第百四十三話 皇帝の降伏勧告その七
「刑務所に入れてる間こいつに寝るところ与えてな」
「飯も食わせるし」
「仕事もやるしな」
「ド屑を税金で養うものだしね」
「もうな」
それこそというのだ。
「こんな税金の無駄遣いないだろ」
「まして税金の無駄遣いするなって言う人程言うしね」
「死刑反対とかな」
「死刑廃止とかね」
「それ違うよな」
「そうそう、絶対にね」
「世の中何があっても生かしていたらいけない奴がいるんだよ」
久志は言い切った。
「何時でも何処でもな」
「おいら達が起きた世界でもそうだし」
「こっちの世界でもな」
「いるしね」
それでというのだ。
「だからね」
「そう、俺達こっちの世界じゃ政もやってるなら」
「凶悪犯への処断も政だし」
「だからな」
「連中はどんどん死刑にして」
「そしてな」
そのうえでというのだ。
「凶悪犯は特別にな」
「拷問みたいな処刑浴びせてるんだよ」
「左様ですか」
「まあお前が嫌いでもな」
それでもとだ、夕子にも話した。
「死刑自体はいいよな」
「やはりそれはです」
「当然のことだな」
「神に仕えていても死刑はです」
これはというのだ。
「被害者の遺族の人達のことを思いますと」
「こっちの世界じゃ被害者も復活出来るけれどな」
「痛みは感じています」
「その痛みを考えるとだよな」
「死刑は当然です」
「そうなるよな」
「むしろ僧侶、尼僧でありつつ死刑廃止を言う馬鹿共などと」
こうしたことを言う尼僧も日本では存在している、加害者の人権には五月蠅いが被害者の遺族の人達の心に寄り添うことは発想の時点でないのだろうか。
「言う人の方がです」
「おかしいよな」
「御仏に仕えるにしては口調も汚いですし」
このこともあってというのだ。
「どうにもです」
「よくないな」
「はい、ですが」
「残虐な処刑はか」
「このことについては」
夕子はどうかという顔で述べた。
「私は抵抗があります」
「それで言うんだな」
「はい」
まさにというのだ。
「残酷な処刑は」
「どうしてもか」
「どうかと思います」
「考え方の相違だな」
「左様ですね」
「まあな、誰もが誰もがな」
「同じ考えとはいかないですね」
夕子もこのことについて述べた。
「やはり」
「そうだよな」
「ですが死刑は」
これ自体はというのだ。
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