曇天に哭く修羅
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第二部
どうでも良い
前書き
紫闇以外で設定を出すタイミングはどの辺りが良いんだろうか。
_〆(。。)
《イリアス・ヴァシレウス・グラディエ》と夜の街を歩いた次の日、《立華紫闇》は【龍帝学園】へ行き、座学を受けていた。
彼は強くなりたいだけではなく、憧れの大英雄《朱衝義人/あかつきよしと》のように軍へ入り、誰かの役に立ちたいという想いが義人に助けられた時からずっと有る。
だから勉強はきちんとこなして無事に進級できるようにしなければならない。
「強くなるなら黒鋼の屋敷に行きゃ良いんだけど座学の単位は登校出席しなけりゃどうにもならねぇ……」
紫闇は勉強が苦手だ。
どうにか【天覧武踊】や大会での活躍に応じて座学の単位を免除してくれないだろうかと紫闇は机に突っ伏す。
「それはしょうがない。発展途上や紛争なんかで学校に行けなかったんなら兎も角、日本でまともに学校出てない奴と学校出てきた人間のどっちに会社へ入って欲しい?」
幼馴染みの《的場聖持》が言うことは理解できるのだが紫闇としてはその意見に対して完全に同意したくなかった。
どれだけの戦力と活躍が有ろうと卒業はおろか進級も出来ないことに。
そして座学の時間が終わる。
「脳へのダメージが酷いから今日はこれで早退しても良いかな聖持ー?」
「訓練の出席日数も留年に関わってくるぞ。俺も紫闇も聖持も二月半以上サボタージュしてたから進級に響いてるはずだ」
気落ちした紫闇は聖持や《エンド・プロヴィデンス》と共に嫌々な態度を隠すこと無く馬鹿でかい体育館へと向かう。
三人が一年の実戦スペースに入った。
「あいつは来てないのか……」
紫闇がキョロキョロと首を回して周囲を見渡すが集まった一年の中に《橘花 翔》の姿を確認することは出来ない。
「もう一人もな。あっちは進級とか気にしないで強い奴と競うか強くなる為に何処ぞで修業してる。まあ最近座学の単位を稼ぎまくっているみたいだが」
聖持によれば《江神春斗》は紫闇が決勝で負けた次の日から学園に来て特別な試験を受けて合格しているという。
「何だそれ?」
「座学免除のペーパーテストだよ。座学の授業科目ごとに有って全部受けたんだ。今のところ一つも落としてないから春斗は座学を受けなくて良い」
座学の免除試験は学年単位で座学を受けなくて良いことになるもので、特に春斗の試験は卒業まで免除という一番難しいものらしく、紫闇では無理だから諦めろとエンドに告げられる。
「理不尽すぎるだろー!!?」
紫闇は叫ばずに居られなかった。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紫闇・聖持・エンドが久し振りに戦闘訓練を受けに来たことで三人の同級生である一年生の注目が否応無く集まっている。
「うわぁ江神以外は揃ってるよ」
「マジで来てんじゃん」
「もしかして復讐しに!?」
「いや、的場とエンドは違うだろ」
「謝っといた方が良いかなあ……」
散々紫闇と彼を信じる聖持・エンド・春斗らを蔑んで馬鹿にしていたというのに今は怯えて目を合わすことも叶わなくなっている。
「居心地悪ー」
そう言った紫闇が振り向くと他の二人は実に晴れ晴れとした笑顔をしていた。
「完全に悪役だな。気持ち良いー!」
「ビビってやがんのw 超気持ち良い」
この状況を楽しんでいる聖持とエンドはやられ役のAとBが振る舞うように周囲を舐め腐りながら馬鹿にしていた連中のことを指さす。
「来やがったわねタチバナシアンッ! 夏期龍帝祭での借りは今回の訓練できっちりと返させてもらうわッ! あとそっちの二人もあたしの踏み台になりなさいッ!」
《クリス・ネバーエンド》が好戦的な笑みを向けて紫闇へのリベンジを口にする。
「全員集合ッ! 整列しろッ!」
そこに号令。
懐かしい顔と声。
赤髪、赤靴、赤ジャージ。
龍帝学園で一年の戦闘訓練を担当している教官《桐崎美鈴/きりさきみすず》
紫闇と顔を合わすのも二ヶ月半ぶり。
全員が彼女に従い列を作る。
美鈴は紫闇の顔を見て眉間に皺。
しかしそれは一瞬のこと。
直ぐに何時もの無表情へ戻った。
「今回の組み合わせは」
「はい教官。お聞きしたいことが有るのですが宜しいでしょうか?」
「エンド・プロヴィデンスか。貴様、私の言を遮るとは良い度胸をしているな……」
ドスの利いた声と鋭く据わった目で不機嫌に威圧する美鈴に対してエンドはへらへらした態度で用件を告げる。
「そんな邪険にしなくても良いでしょ。紫闇の扱いについて聞きたいだけです。実力的にはとーぜん一軍に入りますよね~?」
美鈴は質問に口を噤ませた。
「当然だ。立華は私の言葉を覆して十分過ぎる結果を残したのだからな。あの時の立華に対して私の目が曇っていたとは言わんが今の立華なら認める」
(とは言え橘花との戦いを見る限り学園の戦闘教官が教えられることは無さそうだがな。既に私よりも、いや、日本で正規の軍属となっている魔術師でも勝てる者は三人も居ないだろう)
美鈴が手首を回すように態度を軟化させたことに対して紫闇は複雑だった。
以前はあれだけ厳しかったのに。
(まあエンドや聖持と手合わせ出来るならそれに越したことは無いからな)
今この場に居る人間の中で紫闇の相手になるのは二人だけであり、他の誰かと戦っても満足できるほど強くはなれないだろうから。
入院している間に三軍で外周マラソンするのもなかなか極め甲斐が有ることが解った。
「橘花に勝つには勿論パワーも要るんだが、彼奴に着いていけるスピードやスタミナも必要だからなあ……。一時間単位を全力疾走で動くぐらいは楽勝になりたい」
後書き
_〆(。。)
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