お色気担当
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第五章
「実際は一四五ないですからね」
「そうね、どう見てもね」
「あの娘は特に小さいですけれど」
「本当にこの業界はね」
「小柄な娘多いですね」
「それで貴女もね」
「小柄な方ですね」
陽子は自分から言った。
「やっぱり」
「ええ、けれどね」
「声が、ですか」
「その声の質がね」
「お姉さん系の声で」
「そうした役が多くてお姉さん系の声の中でも」
麻里はビールを飲みつつさらに話した。
「貴女はイメージ的に巨乳なのよ」
「巨乳の声ですか」
「だからね」
「胸が多い役が多いんですね」
「それぞれの声のタイプでどうしてもね」
麻里は自分の言葉を続けた。
「演じる役の傾向が決まるところがあるのよ」
「この業界は」
「色々な声出せて色々な役演じられる人もいるけれど」
「うちの事務所だと綾音ちゃんですね」
伊藤綾音である、陽子と同じ事務所の売れっ子声優の一人だ。
「あの娘なんか」
「そうでしょ、けれどあの娘も傾向あるでしょ」
「可愛い女の子がメインですね」
「あの娘は声が可愛いから」
「だからですね」
「そっちの役が多いのよ」
色々な役を演じられる声優だがそれでもというのだ。
「それぞれの人の声でね」
「そうですか」
「そしてね」
「私もですね」
「声がそうしたタイプだから」
「胸が大きい役が多いんですね」
「そいうことよ、まあそれを軸として」
その胸が大きい役をというのだ。
「それでね」
「これからもですね」
「頑張っていってね、少年役もやりたいって言ってたわね」
「はい、そちらも」
「じゃあそういった役の勉強をして」
そしてとだ、麻里は陽子に話した。
「オーディションもね」
「受けてですね」
「そしてね」
そのうえでというのだ。
「声優としてやっていってね」
「そうさせてもらいます」
陽子は麻里にビールを飲みつつ応えた、そしてだった。
麻里とこれからの役について二人でさらに話していった、ビールも肴も楽しみつつそうしたのだった。胸の大きな役のことも含めて。
お色気担当 完
2019・12・22
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