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ヘタリア大帝国

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TURN35 マレー侵攻の前にその七

「東南アジア、オセアニアを失おうともです」
「そうだ。まだインドがあればな」
「その国力は保てます」
「インドの全ての星域を合わせた国力は東南アジア、オセアニア全土を凌駕する」
 そこまでだ。インドは豊かだというのだ。
「そのインドがある限りはな」
「エイリスは倒れませんね」
「アフリカだけでもまだドクツと戦えるだけの国力がある国だ」
 それにまだインドがあればだというのだ。
「尋常なものではないからな」
「では。欧州で戦う友邦ドクツの為にも」
「インドは攻略しなくてはならない」 
 そしてその足掛かりにだ。マレーの虎は絶対に必要というのだ。
「これまでは前哨戦だ。この方面での決戦はマレーだ」
「はい、ではその為にも」
「インドネシアを占領するぞ」
「わかりました」
 秋山は東郷の言葉に頷く。日本もまた。
 日本軍の主力はインドネシアに入った。インドネシアの植民地艦隊は四個艦隊だ。だがやはりどれも旧式でだ。東郷は彼等を発見するとすぐにだった。
 全軍にこう告げた。その命令は。
「全軍包囲だ」
「包囲殲滅ですね」
「いや、包囲したうえでまずは降伏勧告を行う」
 こう秋山に話す。
「それからだ。相手の返答次第でだ」
「攻撃ですか」
「そうする。ではいいな」
「わかりました。それでは」
 こうしてだ。インドネシアが直接率いる艦隊を含めた植民地艦隊四つが包囲されてだ。東郷による降伏勧告が行われた。この勧告を受けて。
 インドネシアにだ。植民地艦隊の将兵達が問うた。
「どうしますか。包囲されましたよ」
「もう逃げ場はありません」
「敵の艦隊は十個です」
 エルミーの艦隊は見えていない。だから十個に見えるのだ。
「我々の二倍以上です」
「これでは」
「そうだね。これではね」
 インドネシアもだ。己の乗艦の艦橋で難しい顔になっていた。
 その顔でだ。こう言ったのである。
「もう戦闘にならないね」
「はい、ではどうされますか」
「ここは」
「降伏勧告を受けるよ」
 これがインドネシアの決断だった。
「というかそれしかないね」
「はい、それではですね」
「今から」
「僕が交渉するよ」
 インドネシアはこう言ってだった。東郷からの降伏勧告を受けた。インドネシアも無傷で、しかも一戦も交えずして日本に占領された。
 東郷は日本と共にインドネシアに降り立った。そのうえでインドネシア本人と話をした。彼はあっけらかんとして東郷と日本にこう話した。
「僕としてはね。エイリスにも思い入れはないし」
「だからだな」
「私達にもですね」
「協力させてもらうよ。ただしね」
 それでもだとだ。インドネシアはここでこう述べた。
「国民には悪いことをしないでね」
「はい、それは当然です」
 日本が確かな顔でそのことを保証した。
「何があろうとも」
「だといいよ。じゃあこれから宜しくね」
「こちらこそ」
 日本とインドネシアは握手をした。二国の関係には問題がなかった。インドネシアを占領した日本軍はいよいよマレーの虎に向かおうとしていた。
 その日本軍の前にある者が来た。それは誰かというと。
 タイだった。彼は微笑んで集結している日本軍の前に来た。インドネシアだけでなくトンガ、そしてマニラからも艦隊が集められようとしていた。マニラ侵攻からまだ二月程しか経っていない。
 その彼等のところにタイが来てだ。微笑んでこう言ってきたのだ。
「東郷さんと日本さんはおられますか」
「あれっ、貴方は確か」
「タイさんですよね」
「はい、そうです」
 微笑みのままだ。タイは日本軍の将兵達に答える。
 その彼の前にだ。来た提督はララーとキャシーだった。
 二人は怪訝な顔になってだ。こうタイに述べた。
「確かタイさんって中立国だったけれど」
「何かあったのかよ」
「あっ、貴女達のことは聞いています」
 タイは二人の元連合軍の提督達に対して述べた。
 
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