ヘタリア大帝国
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TURN35 マレー侵攻の前にその四
「この戦争の結果は出ないわ。ただね」
「ただ、ですか」
「この戦争はガメリカにとっても非常に大きな戦争になるわね」
このことは間違いないというのだ。
「それだけは言えるわ」
「そうですね。勝って日本を懲らしめる」
「その為の戦争ですから」
「そうね」
クリスはあえて語らなかった。ガメリカが実は日本にエイリスの植民地を全て掌握させそこから日本を倒しエイリスの植民地を個々に独立させ彼等を加えた太平洋経済圏を築こうと考えていることを。これはガメリカの国家達と最高幹部達は知っていた。
だが察しの悪い者は気付いていなかったし察しのいい者はあえて語らない。だから彼女もそうしたのだ。
そのうえでだ。クリスはまた言った。
「敵艦隊は思ったより多いわね」
「はい、確かに」
「八個艦隊ですね」
「数は私達の方が多いにしても」
倍はあった。十六個艦隊だ。
だがそれでもだとだ。ハルゼーは言うのだった。
日本軍の動きは速く瞬く間にガメリカ軍の前まで来た。クリスが艦載機を出す前に。
日本軍の艦載機が動いた。いや、それは。
「魚ね」
「日本軍が得意とする魚戦術ですね」
「これがあの」
「艦載機じゃなくて小魚ね」
それを放ってきたのだ。動きが速かった理由は。
クリスが率いるのは空母だけだった。あとは巡洋艦だ。それに対してだ。
日本軍はまずは集中的に叩いてきたのだ。小魚がある艦隊には索敵能力の高い魚や駆逐艦、旧式とはいってもそれが共にあった。
それで先に察知してだ。攻めてきたのだ。
動きが先んじるのは大きかった。それでだった。
クリスの艦隊をはじめ空母艦隊は次々と攻撃を受ける。当然エセックスもだ。
エセックスは甲板を破壊され艦載機を出せなくなった。それを見てクリスは言った。
「戦闘不能になったわね」
「はい、空母は甲板を破壊されれば終わりです」
「もう艦載機は出せません」
「では司令、ここはどうされますか」
「一体」
「空母は何隻残っているかしら」
クリスは幕僚達にラバウル全体の戦力のことを尋ねた。
「今は」
「五隻、いえ今四隻になりました」
「全て甲板を攻撃されました」
空母は飛行甲板さえ攻撃すれば艦載機を出せなくなる。艦載機を出せない空母なぞただの浮かぶ箱でしかない。つまり今ラバウルで動くガメリカ軍の空母は四隻だ。
クリスはその四隻から艦載機を出させた。だが。
四隻では数が足りなかった。折角出した艦載機は日本軍の小魚に囲まれて撃墜される。そして。
ビーム戦に移った。だがラバウルのガメリカ軍の主力は空母でありビーム攻撃は弱かった。
ビームとビームがぶつかり合う。数がここでもものを言った。
日本軍のビームはガメリカ軍のビームを押し切りガメリカ軍に襲い掛かった。そうして。
ガメリカ軍はまたしてもダメージを受けた。ミサイルを搭載している艦艇や駆逐艦が攻撃を受ける。次の攻撃がこれで封じられてしまった。
こうなっては日本軍の攻めるままだった。彼等は得意の鉄鋼弾攻撃にも入った。
「よし、やるぜ!」
「はい!」
「提督、行きやしようぜ!」
田中の部下達が上官に威勢よく応える。
「俺達の出番ですね!」
「それなら!」
「ああ、敵艦隊に殴り込め!」
そしてだというのだ。
「それで手当たり次第に叩き潰すぞ!」
「合点です!」
「それじゃあ!」
指揮する上官の影響を受けてだった。彼等も威勢がいい。その威勢と共に。
田中が率いる艦隊、〆羅のそれも敵軍に接近し至近距離で鉄鋼弾を放つ。それで能力を失った空母や少ない戦艦を攻撃する。そうしてだった。
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