ヘタリア大帝国
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TURN34 開戦と共にその十三
「とにかく殺伐としたご時世だからね」
「俺としちゃやっぱりな」
「あんたの本土を回復したいね」
「身体全部ドクツに占領されてるからな」
それがフランスの実情だった。その結果連合の五人の中でも最も立場が悪くなっている。
「どうしたものだよ」
「マジノ線突破されたからね」
「あれもな。どうして突破されたのかまだわからないんだよ」
「あたしが見てもあれは突破できないだろ」
「だろ?けれど急に要塞が攻撃されてな」
その結果だったのだ。
「あの様だからな」
「ドクツの新兵器かね」
「だろうけれど何をやったんだが」
「で、今ここにいるってことだね」
「洒落になってないんだよな。本当に」
フランスの言葉はぼやきになっていた。共に外の席に座りコーヒーを飲んでいるがそのコーヒーも美味くは感じられなかった。舌とは別の味覚によって。
「どうしたものだよ」
「で、日本帝国からも宣戦布告されたよ」
「日本な」
「ここにも来ると思うかい?」
「流石に来ないだろ」
フランスは遠い東洋のことだとだ。この時点では思っていた。
それでだ。こうビルメに答えたのである。
「どうせガメリカかエイリスの反撃を受けて終わりさ」
「だろうね。けど万が一にだよ」
「ここまで来た時はだな」
「その時は軍の統制に注意するんだね」
「今軍も結構たるんでるしな」
これが実情だった。オフランス軍の。
「逃げてきてそっから一度も戦ってないからな」
「訓練もあまりしてないだろ」
「シャルロットさんに艦隊指揮は教えてるさ」
「あの娘の直属艦隊とあんたや妹さんの艦隊以外はどうだい?」
「いや、碌にな」
こうビルメに答える。コーヒーを手にして彼の話を聞く彼女に。
「セーシェルも遊んでばかりだしな」
「あの娘は前からああだよ」
「そうだよ。あんたも知ってるだろ」
「昔から俺とイギリスが可愛がってきてな。何でもしてやってな」
「甘やかしてたんだね」
「それもあってな」
その結果だ。セーシェルも遊び人気質、ただし野性的なそれになったというのだ。
「まあ。ちょっとな」
「あんた結構甘いところがあるからね」
「随分率直に言ってくれるな」
「あたしの性分だよ」
ビルメは悪びれずそのアライグマそっくりの顔で返す。
「気に障ったら悪いね」
「別にいいさ。連合国の他の奴等はもっと言ってくれるからな」
「あんたも結構大変だね」
「負けてるとこんなものさ。とにかく日本が来たらか」
「ドクツもスエズを占領したらここまで来るかもね」
「その時将兵が騒いだら俺が止めるさ」
祖国である彼がだというのだ。
「暴動なんか起こさせないから安心してくれ」
「流石に祖国のあんたが出ると誰も何も言わないからね」
「で、いざとなったらな」
「どうするんだい?」
「正直今の俺達の軍じゃ日本にもドクツにも勝てない」
実にありのままだった。フランスは自国の軍の戦力を分析していた。
「イタリンには勝てるがな」
「あの国に勝てないとなると冗談抜きでやばいね」
「降伏するしかない」
「で、降伏する時には誰が出るんだい?」
「ビジー司令官じゃ駄目だよな」
「あのおっさん逃げるよ」
あっさりとだ。ビルメはビジーはそうした人間だとフランスに告げた。
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