ヘタリア大帝国
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TURN34 開戦と共にその十二
「帝とか資産主義とか財閥とか」
「そうよね。一人だけが偉いとかお金持ちだとか」
「そんなの間違ってるんだから」
カテーリンの目から見ればそうだった。
「だから絶対にだよ」
「三国共やっつけて」
「太平洋にも共有主義を広めるの」
「エイリスはその後?」
「うん、植民地も解放よ」
その時になってだというのだ。
「最後になるよ」
「それでセーラ=ブリテンもなのね」
「学校で再教育よ。立たせてあげるんだから」
罰も与えるというのだ。
「植民地の皆苦しんでるのよ。一人だけ優雅にお茶飲んで遊んでるって酷いよ」
「そうだよね。だから共有主義がいいんだよね」
「共有主義は皆同じにするの」
カテーリンの中ではそうしたものだった。
「皆が幸せになる社会なんだよ」
「じゃあその実現の為にね」
「うん、戦うの」
そして勝つというのだ。
「この戦争に。最後に勝つのはソビエトなんだから」
「僕もね。皆がお家に入ってくれるとね」
ロシアは素朴な笑みでカテーリンに話した。
「嬉しいからね」
「祖国はクラス委員よ」
「国家のクラスの?」
「そうだよ。頑張ってね」
「うん、僕頑張るよ」
ここでもだ。ロシアの笑みは素朴だった。
「幸せになる為にね」
「そう。皆幸せにならないと駄目なの」
カテーリンは自分の学校の生徒の机から言った。
「一人だけ幸せになるとかいけないの」
「うん、そうだよね」
「その通りだよ」
ミーシャとロシアもカテーリンのその言葉に笑顔で頷く。二人はカテーリンの最高の理解者達だった。その彼等が自分の言葉に頷いたのを見てだ。
カテーリンは再びだ。こう言ったのである。
「じゃあ今日もね」
「うん、赤本の朗読だね」
「その時間になったね」
「皆で読もう」
カテーリン一人でなくだ。三人でだというのだ。
「そうしてお互いに勉強し合おう」
「そうだね。それじゃあね」
「三人でそうしようね」
三人は赤本を出して読み合う。共有主義の素晴しさを読書でも認識し合おうとしていた。三人にとっては今のこの時間こそが家族の時間だった。
オフランスは平和だった。本土がなくなろうとも。
マダガスカルでだ。フランスはビルメの話を聞いていた。
「あんたが今のあたし達の祖国だからね」
「ああ、それでだっていうんだな」
「ちょっと言いたいことがあるよ」
「あの人のことだよな」
「悪い娘じゃないね」
ビルメもそのことはわかった。
「むしろかなりいい娘だね」
「そうなんだよな。性格は凄くいいんだよな」
「しかも祖国さんの教えることもちゃんと頭に入れてくれてるね」
「筋はいいぜ。政治も軍事もな」
「だよね。けれどね」
「言いたいことはわかってるさ。世間ずれしてるっていうんだな」
「ちょっと以上に過ぎないかい?」
世間知らずだというのだ。彼女が。
「そこが気になるんだけれどね」
「まあな。あれで二十四だけれどな」
「二十四までずっとお嬢様、いやお姫様育ちだったんだね」
「四女さんだったしな。前の王様のな」
王位継承権はないに等しい。まさに純粋なお姫様だったのだ。
「だから本当にのどかに育てられたからな」
「それでああした娘になったんだね」
「そうなんだよ。ちょっと国家元首としてはな」
「とりわけ今はだね」
「まずいっていうんだな」
「おっとりし過ぎだね」
とにかくだ。そこがシャルロットの問題点だというのだ。
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