ヘタリア大帝国
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TURN34 開戦と共にその八
「じゃあ両国との戦いは見ているだけで」
「無論ソビエトにも援助はしない方がいいです」
イギリス妹はこのことも進言した。
「その余裕があれば我々の力を回復させるべきです」
「うん。姉様、いえ陛下はどうお考えですか」
「はい、貴女の言う通りです」
セーラはイギリス妹を見て述べた。
「どちらもエイリス、そして世界に対する脅威。それならば」
「共に戦わせますね」
「そうします。枢軸といってもです」
セーラは枢軸全体の話もした。
「イタリンは正直なところ」
「気にしなくていいかと」
「私もそう思います」
イギリス妹だけでなくロレンスも答える。
「どうも憎めない相手ですが」
「敵としては気にしなくてもいいです」
「そうです。私もどうもイタリンは嫌いではありません」
セーラもだ。敵とはいえイタリンには嫌悪も憎しみもなかった。
「ですから戦いの後でも」
「特に罰則を加えることもないでしょう」
「野心もありません」
「彼等にあるのは。おそらくは」
セーラは首を捻ってそのうえで述べた。
「楽しく過ごしたいというところでしょうか」
「ああ、イタリア自体弱いしな」
イギリスも言う。
「愛嬌があって憎めないからな」
「はい、害はありません」
「味方ならば脅威ですが」
ロレンスはここで身も蓋もないことを言ってしまった。
「むしろ敵で安心しています」
「おいロレンス、それは言い過ぎだろ」
「しかし実際に」
「だけれどな。連中はな」
「はい、味方にすると不安ですが」
「敵でもだよな」
「かえって心配になります」
大丈夫かというのだ。彼等はここでポルコ族やイタリア達の能天気な顔を思い出した。
「妹さん達は強いですが」
「肝心のあの兄弟があれだからな」
「とりあえず気にしなくていいです」
「だよな。北アフリカでも敵はドクツ軍だからな」
実質彼等が相手だった。
「イタリン軍はな」
「敵ではありませんね」
「正直いるだけだよ」
イギリスから見てもそうだった。
「まあイタリンはいいさ」
「はい。問題はやはり」
「ドクツと日本だな」
「日本。極東の古い大国」
今言ったのはネルソンだった。端整な声で言う。
「そして武士の国ですね」
「そうです。ではネルソン」
「我々も騎士としてですね」
「彼等と正々堂々と戦い勝利を収めて下さい」
セーラも騎士だった。女王であるが彼女も騎士なのだ。
だから騎士としてだ。こうネルソンに言うのだった。
「宜しいですね」
「騎士提督として恥じぬ戦いをしてみせます」
「エイリスが何故世界の盟主なのか」
そのこともだ。セーラは強く意識していた。
そしてその意識をあえて口にしてみせただ。周りにいる者達に告げたのである。
「それは誇りがあるからです」
「騎士の誇りね」
「ガメリカや中帝国には最初からありません」
セーラは内心彼等のそのあまりにも実利的な面を嫌っているのだ。
「そしてソビエトにもです」
「ないな、確かに」
イギリスもソビエトには騎士道はないと見ていた。
「あそこにもな」
「オフランスはありましたが」
セーラの今の言葉は過去形だった。
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