ヘタリア大帝国
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TURN34 開戦と共にその三
「二期が終わった時点で経済は何とか持ち直したけれど日本帝国のことが出て来ていたから」
「共和党って伝統的に日本には穏健なのよね」
キャロルがこのことを指摘した。
「あたし達財界としては日本をちょっとへこましたいのに」
「日本を何とかしないと太平洋経済圏を築けない」
ドロシーはこのことを指摘した。
「そして共和党はエイリスにも穏健で植民地も認める方針だったから」
「それでは太平洋経済圏が築けないわ」
ハンナの口調はぴしゃりとしたものだった。
「だから今回は異例で。財界は今のプレジデントの支持に回ったのよ」
「それが僕にとってもいいことなんだな」
「そうよ、私達はあくまでガメリカの財閥の人間よ」
アメリカにだ。ハンナはこのことを強調して述べた。
「ガメリカの人間ならガメリカの利益を考えるのは当然のことよ」
「けれど共和党の人達も僕のことを考えてるぞ」
「見解の相違よ」
またしてもだ。ハンナはぴしゃりと言った。
「そこはね」
「見解の相違なのか」
「共和党は今は穏健路線で現状維持派なのよ」
「だから日本帝国にもエイリスにもそう言うんだな」
「そういうことよ。けれどね」
「プレジデントや君達は違うんだな」
「ガメリカの為には日本を叩いてエイリスの植民地は解放よ」
ただしガメリカが手を汚すのは前者についてのみだ。
「その為にはあの大統領であるべきなのよ」
「ううん、太平洋か」
「祖国さんにはその盟主の座が待っているわ」
「リーダーだな」
「そう。ひいては世界のリーダーよ」
今はエイリスがいるだ。そこにアメリカが座るというのだ。
「その為にも。いいわね」
「よし、じゃあ僕も頑張るぞ!」
アメリカはハンナと話した後で威勢よく言った。そうしたやり取りの後でだ。
一同のところにルースが戻って来た。幾分疲れた顔だが満足している面持ちだ。
その顔で部屋に入って来た彼にアメリカ妹が声をかけた。
「お疲れ様、中々よかったわよ」
「だといいがね。しかし私はどうもな」
「演説は苦手なのね」
「昔からスピーチの類はね。暗い性質なんでね」
こうだ。彼は自嘲めかして言いながら空いている場所に座った。
そのうえでだ。クーが差し出してきたコーヒーを一礼してから受け取ってからこうも言った。
「事務処理や政策立案には自信があるがね」
「政治家には演説も必要じゃないの?」
「国防長官、人には得手不得手があるのだよ」
ルースはキャロルの問いにこう返した。
「私はそうしたことが不得手なんだよ」
「そういうことなの」
「野暮ったい外見だしね。学生の頃からね」
「ううん。ハーバードで優秀な成績だったんじゃないの?」
「スポーツも苦手でね。所謂ガリ勉だったのだよ」
「それはそれでいいんじゃないの?」
「お陰でもてない暗い学生生活だったよ」
言いながらだ。ルースは自分のあまり楽しくない過去を話した。
「もてもしない。スポットライトは当たらなかったね」
「けど今はプレジデントじゃない」
「それはそうだがね。まあそんな私でも祖国氏は普通に接してくれるね」
「僕の上司なら当然だぞ」
アメリカは公平だった。少なくとも人を外見で差別はしなかった。
それでだ。彼は笑顔でルースにこう言ったのである。
「だからこれからも頼むぞ」
「そう言ってくれるのならね。とにかく私の今の仕事は終わりだ」
「後は僕達の仕事だ。ハワイに戻って色々とやるか」
アメリカはまた威勢よく言った。彼等にとって今は緒戦でしかなく本格的な戦いの用意に入っていた。ガメリカのそうした状況に呼応する国もあった。
シュウ皇帝は重慶においてだ。中国兄妹とガメリカから派遣されているキャヌホークに問うていた。彼は紅い部屋で玉座にいてそのうえで問うたのだ。
「さて。キャヌホーク提督よ」
「はい、ガメリカのことですね」
「ここまでは予定通りだな」
「後ラバウルの放棄ですね」
これも想定しているとだ。キャヌホークはあっさりと答えた。
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