| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

ヘタリア大帝国

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

TURN33 マニラ攻撃その九

「そうしないと話にならないからな」
「それじゃあまた」
「敵のボスを攻めようかい」
 こう話してだ。まただった。
 東郷の艦隊に総攻撃が浴びせられる。今度は鉄鋼弾で。
 しかしそれもだった。緑の謎のバリアに防がれる。艦隊は相変わらず無傷だった。
 そして日本軍の鉄鋼弾での反撃でまたダメージを受ける。ガメリカ軍、フィリピン軍のダメージは尋常なものではなくなってしまっていた。
 見ればララーとキャシーの艦隊も壊滅していた。軍の先頭で戦っていた彼女達の艦隊も。
 軍全体のダメージと謎のバリアも前にしてだ。ダグラスは忌々しげに言った。
「タイムリミットだ」
「じゃあ撤退か」
「ああ、それしかない」
 ダグラスはこうアメリカに答えた。
「ララーとキャシーは・・・・・・無理か」
「命は無事みたいだぞ」
「だがその艦艇は捕獲された」
 今日本軍にだ。そうなっていた。
「どうしようもない。ここはな」
「僕が後詰になるぞ」
「いや、祖国さんはそのまま逃げてくれ」
 ダグラスはアメリカの申し出は断った。
「当然フィリピンさんもな」
「じゃあまさか」
「ああ、後詰は俺が引き受ける」
 司令官自らだ。それにあたるというのだ。
「祖国さんとフィリピンさんは主力と共にハワイまでそのまま撤退してくれ」
「わかった。それではな」
「ここは任せたよ」
「派手にやられたがな」
 これ以上はないまでにだ。そうなったと言ってからだった。
 ダグラスは自ら後詰になり軍を退かせた。進撃してくる日本軍の前に派手に機雷を撒布した。それからだった。
 今になってようやく攻撃可能になったビームの一斉射撃を行いそのうえでだった。ハワイに向けて撤退した。機雷とビームを受けてだった。
 日本軍も足を止めた。それでもだった。
 マニラの戦いも終わった。日本軍はほぼ無傷でマニラを掌握できた。そしてだ。
 東郷はマニラに入った。そこでこう言うのだった。
「さて、奇跡が起こってな」
「このまま順調にエイリスに攻め込めますね」
「ああ。ただな」
「真希ちゃんのことですか」
「そうだ」
 まさに彼女のことだとだ。共にいる日本に話す。
「本当にどういうことなんだ」
「わかりません。ですが」
「あの娘に何かあるのは確かだな」
「そのことは間違いありません」
 日本は今はこう言えるだけだった。
「あの娘に何故ああした力が」
「祖国さんはこうしたことは見たことがあるだろうか」
「あることはあります」
 こう答える日本だった。
「実際に」
「それはまさか」
「はい、歴代の帝の中にです」
 帝だった。日本が話に出したのは。
「全ての攻撃を弾き返す方もおられました」
「じゃあ真希もか」
「そうではないでしょうか」
 日本は首を捻りながら東郷に話す。
「真希ちゃんもまた」
「そうか。真希は孤児じゃないがな」
 帝になる条件の一つにそれがある。親戚や外戚の存在を考慮してのことだ。
「それでもか」
「孤児でなくとも力がある場合もあるのでしょう」
「それは祖国さんもか」
「はい、歴代の帝でだけ見ました」
 そうだったというのだ。
「ですが真希ちゃんも」
「そうか。その力でか」
「はい、今回東郷さんは助かったのでしょう」
「奇貨だな。しかしな」
「あてにしてはいけませんね」
「ああ、こうした力を頼りにしてもな」
 こう言ったのである。
「力が出なくなった時に攻撃を受ければだ」
「思わぬ事態になりますね」
「そうだ。こうした力はどうしたら完全に出るかどうかわからない限りな」
「頼りにしてはいけませんね」
「そうだ。それに子供をあまり軍艦に乗せることもな」
 そうしたこともだとだ。東郷は言う。
「軍属でもないとな」
「そうでもない限りはですね」
「俺は乗せない」
 こう言ったのである。
「そうしたい」
「わかりました。では今回のことは」
「あくまで奇貨として捉えて今回だけだ」
 使わないというのだ。具体的には。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧