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戦国異伝供書

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第七十六話 美濃に進みその十

 義賢が率いる六角家の本軍、第二陣と本陣は押されている先陣を救うべく川を渡ってきた。新九郎はそれを見て確かな声で言った。
「来たな」
「はい、六角家の軍勢が」
「第二陣も本陣も来ましたな」
「まさに総軍が来ました」
「そうしてきました」
「ならじゃ」
 新九郎はその確かな声でさらに言った。
「ここはじゃ」
「さらに攻めますな」
「六角家の軍勢を」
「第二陣も本陣も」
「そうしていきますな」
「そうする、そして川まで敵軍を押し返せばじゃ」
 川の南岸までというのだ。
「もうそれでじゃ」
「我等の勝ちですな」913
「そうなりますな」
「まさに」
「だからじゃ」
 新九郎はさらに言った。
「ここはな」
「このままですな」
「攻めていきますな」
「我等の利点を活かし」
「そのうえで」
「そうしていく、よいな」
 こう言ってだった、新九郎はさらに攻めさせた、そしてだった。
 六角家の軍勢をさらに押していった、すると。
 遂にだった、六角家の軍勢は遂に川岸まで追いやられた。そうして川に戻る様に入っていくがここでだった。
 新九郎はさらに攻めらせた、川に入った敵兵達を見て言った。
「鉄砲と矢でじゃ」
「川に入った兵をですな」
「このままですな」
「攻めていきますな」
「そうしますな」
「そうじゃ」
 その通りだというのだ。
「そしてじゃ」
「はい、そのうえで」
「敵を倒し」
「そしてですな」
「戦の勝ちを確かなものにするぞ」
 こう言うのだった。
「よいな」
「はい、では」
「最後の一押しですな」
「それをしますな」
「鉄砲と矢でな」
 こう言ってだった、そのうえで。
 新九郎はさらに攻めさせ遂にだった、六角家の軍勢はほうほうのていで川の南側に逃げ去った。それを見てだった。
 新九郎は家臣達に言った。
「敵は逃げていくな」
「はい、ではですな」
「このまま追いますな」
「そうしますな」
「勝った、ではじゃ」 
 それならというのだ。
「後はな」
「敵は肥田城に入っています」
「まだあの城におります」
「それではですな」
「次は」
「あの城じゃ、これで我等の勝ちは決まったが」
 それでもというのだ。
「やはりな」
「はい、まだですな」
「まだあの城を取り戻す」
「そうせねばなりませぬな」
「それ故に」
「まだ戦う」 
 そうするというのだ。
「よいな」
「では」
「川を渡りましょう」
「今から」
「そうする、そして川を渡ってな」
 そしてというのだ。 
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