ヘタリア大帝国
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TURN31 開戦その七
東郷は長門に乗り込もうとする。だがその彼のところにだ。
平賀、勿論頭に久重を乗せている彼女が来てこう言ってきたのだった。
「出撃だな」
久重が言ってくる。平賀の言葉を代弁して。
「遂にこの時が来たな」
「ああ、戦うからにはな」
「勝つか」
「そうする。勝って帰ってくるさ」
「わかった。では君にだ」
「俺に?デートの御誘いなら何時でもいいが」
「馬鹿を言え」
このことは即座に否定する平賀だった。
「そんな筈がない」
「やれやれ、俺の方はいいんだがな」
「私は男には興味がない。そういうことではない」
「じゃあ兵器のことだな」
「そうだ。長門よりも遥かに高性能の艦艇を今現在設計中だ」
平賀が言ったのは驚くべきことだった。
「おそらく第六世代の艦艇も超える」
「今やっと第三世代の艦艇が出ようとしているのにか」
「そうだ。私の最高傑作だ」
そこまでの艦艇が開発されようとしているというのだ。平賀の手によって。
「その艦艇を連合艦隊の旗艦に送る」
「それは有り難いな。こっちも欲しいところだ」
「やがてな。ただ問題は名前だ」
「艦の名前か」
「何にする、その名前は」
「そうだな。三笠もいいが」
「それは記念艦になっている」
そのうえで保存されているのだ。正式に海軍に籍を置いて。
だからこの名前は使えなかった。それではだった。
「他の名前だな」
「何がいいだろうか」
「それならですが」
ここで出て来たのは日本だった。
「私に心当たりがありますが」
「祖国さんがか」
「はい、私の昔の名前にもなりますが」
こう前置きしてだ。日本は話す。
「大和はどうでしょうか」
「大和か」
「その名前か」
東郷だけでなく平賀も声をあげた。その名前を聞いて。
「成程な。そう来たか」
「これはまた、だな」
「どうでしょうか」
日本はあらためて二人に問うた。
「この名前で」
「いいと思う」
「私もだ」
二人はこう日本に答えた。
「そうだな。連合艦隊の旗艦の名前に相応しい」
「その名前があったか」
「そうですか。これでいいですか」
「大和、いい名前だな」
東郷は微笑みさえ浮べた。そうしてだった。
日本と平賀にあらためて言ったのだった。
「では俺はそれにしよう。大和だ」
「私も賛成させてもらう」
平賀は久重の口から述べた。
「祖国殿、素晴しい名前を有り難う」
「いえ、お礼までは」
「いえいえ、流石祖国さんですよ」
これは久重自身の言葉だ。
「そうしたセンスのある名前が出るところがいいですね」
「そうであればいいですが」
「いえね、前から思ってたんですよ」
久重は平賀の頭の上から明るく話していく。
「祖国さんって何かとセンスがいいって。やっぱり私達の祖国だけはありますね」
「・・・・・・・・・」
久重がさらに言おうとするとだった。ここで。
平賀が彼をつんと右手の人差し指で突付いた。それで止めたのだった。
「あっ、すいません」
「・・・・・・・・・」
「そうでしたね。祖国さんに僭越ですね」
「・・・・・・・・・」
平賀は無言でこくりと頷いた。
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