ヘタリア大帝国
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TURN31 開戦その五
「しかも指揮官は騎士提督の一人でしょう」
「エイリスの切り札である、ですか」
「イギリス自身か妹も来るでしょう」
「イギリスさんがですか」
その名前を聞いてすぐにだ。日本はその顔を引き締めさせた。
「あの方も」
「これはかなり大変な戦いになりますね」
日本妹も言う。
「イギリスさんか妹さんがとなると」
「ああ。祖国さん達も頼むな」
「はい、あの方々が来られるなら」
「エイリスも本気ですね」
「多分ベトナム辺りで最初に衝突するな」
そのだ。エイリス正規軍とだというのだ。
「エイリス軍は我が軍が手本にしてきた軍だ。決戦主義だ」
「そうだな。エイリス軍はな」
山下もエイリス軍の決戦主義は知っていた。それはどういったものかというと。
「然るべき場所で敵と雌雄を決することを常にしているからな」
「だからだ。最初は多分ベトナムだ」
「インドを後方基地にしたうえでか」
「まずはベトナムで彼等を退ける」
そしてだというのだ。
「インドの緒星域を占領するがだ」
「さらにか」
「インドカレーでだな」
「次の決戦の場は、か」
「そうなる。アラビアまで彼等との戦いは続く」
「そうした意味もあってか」
「ああ、アラビアがとりあえずの戦略目標になる」
東郷はそこまで読んでいた。
「スエズへの侵攻も考えたいがな」
「それは流石に難しいだろう」
山下はスエズ侵攻については否定的に述べた。
「ガメリカとの戦いがある。ハワイだな」
「アラビアまで侵攻したらハワイ攻略にかかる」
実際にそうするとだ。東郷は山下に話した。
「そしてハワイを占領できたならな」
「そこを足掛かりにしてだな」
「ガメリカ本土に入る。カナダにもな」
「壮大だな」
山下はここでは皮肉なしに述べた。
「まさにな。しかしだ」
「実現の可能性は低いというのだな」
「確かに植民地の艦隊なら何とかなる」
彼等ならばだとだ。山下も見ていた。
「だがエイリスの本国艦隊は数も揃っていれば装備もいい」
「空母に戦艦もある」
「そうだ。しかもエイリスの誇る騎士提督が率いるとなるとだ」
「余計に難しいな」
「少なくとも騎士提督が直接率いる艦隊を攻略できないとならないが」
「そのことだな」
「バリアなり何なり装備しているだろう。勝てるか」
山下は真剣だった。彼女は確かに東郷を嫌っているがそれでもだ。
国家がかかっている、生真面目な彼女がそれをおろそかにする筈がなくそれが為に勝算を東郷に問うているのだ。彼女の公からそうしているのだ。
「それに対しては」
「勝てると言えば?」
「口だけではないな」
「この場合口だけで言うのは背信だと思うが」
「そうだな。貴様は確かにいい加減だ」
山下は自分の統合の見立てで返す。
「しかし背信はしない」
「ならわかってくれるな」
「貴様は好きではないが信用できない者ではない」
「それならだな」
「その言葉信じさせてもらおう」
山下は強い声で述べた。
「ではな」
「済まないな」
「謝ることはない。ではな」
陸軍も賛成だというのだった。
「私は貴様に賛成しよう」
「これで海軍と外務省、陸軍が賛成ですね」
「私もです」
「私もだ」
祖国である日本と柴神も帝に答えてきた。
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