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戦国異伝供書

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第七十三話 元服前その十一

「是非な」
「織田家と手を結び」
「生きるべきですな」
「越前を守り」
「そのうえで」
「そう考えておる、だが孫次郎様のやり方では」
 義景、彼のというのだ。
「織田家と手を結ばれるか」
「わかりませぬか」
「あの方では」
「そのことも」
「内の政はされるが」
 それでもというのだ。
「外のことはあまりご興味がない様じゃ」
「確かに。言われますと」
「これといって外に言われませぬ」
「一向宗は気にされておられますが」
「それでもですな」
「浅井家についても関心が薄い」
 宗滴が見る限りそうである、若し関心があればより積極的に浅井家を助けその独立にも力を貸しているというのだ。
「それではな」
「織田家が大きくなっても」
「それでもですか」
「あの方は」
「動かれませぬか」
「そうであろう、そしてどうにもならなくなった時に」
 朝倉家がそうなった時にというのだ。
「織田声に下手に逆らわれて」
「そしてですか」
「家を滅ぼす」
「そうされるというのですか」
「まさかと思うが」
 危惧、それを見せての言葉だった。
「そうしたことになるやも知れぬ」
「そう思われるからこそ」
「宗滴様としては」
「今からですか」
「織田家はまだ尾張の一国ですが」
「懸念されておられますか」
「どうもな、どの様でも先の先を広く見ねば」
 そうしなければというのだ。
「生き残れぬわ」
「戦国の世でなくとも」
「何時の世もですか」
「そうせねばなりませぬか」
「左様じゃ、そうしてこそじゃ」
 まさにというのだ。
「生きられるのじゃ、目先だけ見てはならぬ」
「では当家も」
「今の状況に安心せず」
「一向宗以外のことも見て」
「そうして動いていくべきですか」
「そう思うが。果たしてこれからどうなるか」
 朝倉家のことを憂いてだ、宗滴は言った。 
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