捻くれ者の改宗
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第三章
彼に強い声でこう言った。
「その教えを信じていいか」
「アッラーは誰も拒まれない」
これがムハンマドの返事だった。
「絶対に帰依する者をな」
「そうなのか、俺は貴殿もイスラムも散々に攻撃したが」
「しかしだ」
それでもと言うのだった、ムハンマドは。
「アッラーが許されたからだ」
「いいのか」
「そうだ、いい」
こう言ってだ、そのうえで。
ムハンマドはウマルを笑顔で迎え入れた、こうしてウマルはムスリムとなり彼の一家も信じる様になりムハンマドそしてイスラムの大きな力となった。そしてヒジュラの後でメッカを攻める戦いの中で彼はムハンマドに言った。
「俺は最初は本当にだ」
「イスラムを攻めたな」
「その俺がムスリムになるとはな」
「運命だ」
ムハンマドはウマルに一言で答えた。
「全てはな」
「アッラーが定められたか」
「それによるものだ」
「では俺がイスラムを嫌い攻撃したこともか」
「貴殿のその強さと激しさをだ」
「アッラーはご覧になられていてか」
「貴殿の様な者こそがな」
強く激しい者こそというのだ。
「イスラムに必要と思われていたのだ」
「だから俺はムスリムになったのか」
「そうだ、貴殿は常に貴殿一人の力で正面から来たな」
ムハンマドはウマルにこのことも話した。
「そうしたな」
「それが俺のやり方だからな」
「クライシュ族の偉い者達の様に権力を使ったり陰湿なことをしたりカアバの神殿に入れたりしなかったな」
「それはそうだが」
「その正々堂々としたものもアッラーは必要とされたのだ」
「成程な、では俺のアッラーが認められた部分をだ」
ウマルはここまで聞いて頷いた、そうしてだった。
戦場に向かい堂々と戦った、後に彼はムハンマドの後継者であるカリフとなったがそこで大きな働きをしてイスラムの勢力を大きく拡大させた、その強さと激しさは最初はムハンマドそしてイスラムに向けられたがイスラムに入ってからはイスラムの大いなる力となった、捻くれたところもあった様だが改宗してからは違っていた。こうした人物を迎え入れたことも今もその名を残していることもイスラムの素晴らしさと言えるであろう。そう思いこの物語を書き残しておくことにした。一人でも多く読んで頂ければ幸いである。
捻くれ者の改宗 完
2019・9・4
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