年上でも
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第二章
「どの人も私よりずっと年上じゃない」
「そうよね」
「というかそれが普通でしょう」
こう母に言った、自分にそっくりだが顔に少し皺が出てきていてしかも腹のところに少し肉が付いてきている母に。尚母の名前は茉奈という。
「叔父さん叔母さんって」
「だからそれがね」
「そうとも限らないっていうのね」
「ここはお祖父ちゃんお祖母ちゃんを素直にお祝いして」
そしてというのだ。
「赤ちゃんが生まれることもね」
「お祝いしようっていうのね」
「そうすべきよ」
「まあね、高齢出産だし」
それでとだ、可奈は母の言葉を聞いてあらためて言った。
「お祖母ちゃんに無理して欲しくないけれど」
「それでもでしょ」
「ええ、元気な赤ちゃんが生まれて」
「すくすくと成長してくれたらね」
「本当にいいわね。ただお祖母ちゃんが生んでも」
ここでこうも言った可奈だった。
「お祖父ちゃん六十で」
「赤ちゃんが大人になる頃はね」
「かなりの歳だけれど大丈夫かしら」
「その時はお母さんが面倒見るから」
母は娘に笑って答えた。
「だからね」
「その心配はいらないのね」
「そうよ、だって弟か妹になるから」
だからだというのだ。
「育てるのは当然でしょ」
「じゃあひょっとしたら私と同居も」
「あるかもね」
「昔は私の歳で結婚して子供も出来てたし」
ここで可奈は戦国時代のお姫様のことを思い出した、この時代なら確かにそうしたことが普通だった。
そしてその頃ならとだ、ここで言ったのだ。
「私の赤ちゃんみたいな年齢の叔父さんか叔母さんね」
「そうもなるかもね」
「余計に不思議な気分になるわ」
「それ言ったら私の孫みたいな年齢の弟か妹ね」
「あっ、そうもなるわね」
可奈は言われてそのことにも気付いた。
「私の赤ちゃんだったら」
「そうでしょ、あとあんたまさかと思うけれど」
ここで母あ娘をじっと見てこうも言ってきた。
「そうした経験は」
「彼氏もまだいないしキスもよ」
可奈は母のその質問に即座に答えた。
「ないわよ」
「そうだといいけれど」
「女の子ともないから」
「同性愛は別に出来ないから好きにしていいわよ」
「何かの漫画で男の人同士で出来てたけれどね」
「少佐さんね、あの人最近あの漫画に出ないわね」
母は娘が言った漫画が何の漫画か即座に悟った。
「どういう訳か」
「ずっと主人公の一人だったんでしょ」
「そうだったけれどどういう訳かね」
「出て来なくなったのね」
「あれが不思議ね」
母はこう思わらざるを得なかった、だがそうした話をしている間にだった。
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