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ドリトル先生の林檎園

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第十二幕その三

「僕達よりもね」
「日笠さんなんだ」
「あの人のことは忘れないで」
 それでというのです。
「買っているのがいいよ」
「そうなんだね」
「そう、本当にね」
 そこはというのです。
「僕も嬉しいよ」
「何か皆日笠さんのことを気にかけているね」
「同然だよ」
「そうだよね」
「日笠さんのことを忘れていたら」
「僕達も困るから」
「どうかってなるし」
 動物の皆も先生に言います。
「しっかり覚えてくれていてよかったわ」
「ここで僕達も確認するつもりだったし」
「若し忘れていたら今すぐ買ってもらっていたから」
「日笠さんの分もね」
「お友達としてでもですよ」
 トミーも先生に言いました。
「日笠さんには忘れないで下さいね」
「そうそう、絶対に」
「僕達のことは忘れてもいいけれど」
「日笠さんの分は忘れないでね」
「こうした時はいつも」
「それこそ何があっても」
「そういえば日笠さんと知り合ってからいつもだね」
 ここで先生も言いました。
「僕は日笠さんにもお土産買ってるけれど」
「人への気遣いを忘れないのが先生でね」
「そこは先生の長所よ」
「そこは先生のいいところで」
「忘れないのはいいことだよ」
「本当にね」
「このことは。だからよかったよ」
 先生が今回も忘れないで、というのです。
「じゃあ神戸に帰ったら」
「明日大学に出勤するけれど」
「動物園に行きましょう」
「それで日笠さんにもプレゼントよ」
「そうだね、しかし日笠さん位の人なら」
 ここでこうも言った先生でした。
「いい人といい恋愛が出来そうだね」
「それは同意だよ」
「僕達にしても」
「日笠さんならね」
「絶対にいい人と素敵な恋愛が出来るわ」
「とてもいい人とね」
「そこで僕を見るのがわからないね」
 先生は皆の視線を感じて笑って述べました。
「どうにも」
「まあね、先生はわからなくても」
 王子はアップルティーを飲みつつやれやれといった笑顔になっています、そのうえで先生に対して言うのでした。
「そのうちね」
「そのうち?」
「わかってもらえるよ」
「そうかな」
「うん、そうなるよ」
 是非にと言うのでした、そしてです。
 先生は最後の最後のアップルティーとアップルパイを楽しんでからでした、皆と一緒にキャンピングカーに乗ってです。
 そのうえで神戸に向けて出発しました、そして長野県を出た時に長野県の方を振り向いて言いました。
「幸村さんや義仲さんや藤村さんともね」
「今はだね」
「お別れね」
「また来る日まで」
「その時までね」
「そうだね、下坂さん達ともね」
 この人達のこともです、先生は思うのでした。
「また会える日までね」
「お別れだね」
「そして長野県の美味しい食べものとも」
「それともね」
「今はね」
 動物の皆に言うのでした。 
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