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負けたとしても

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第二章

「阪神なんか」
「ああ、あそこはね」
「もっと凄いでしょ」
「阪神はそうね」
 野球に特に興味のない母も認めることだった。
「もう毎年みたいにね」
「凄いことあるわね」
「ネタっていうかね」
 母はこうも言った。
「信じられないことばかり起こるわね」
「負けるにしてもね」
「それで言うのね」
「もうね」
 それこそというのだ。
「阪神はね」
「こんなものじゃないから」
「だからね」
「カープもなのね」
「折角毎年勝ち越してるのに」
 その阪神にだ。
「こうしたことで負ける訳にはいかないから」
「だから順位が低くてもなのね」
「応援していくわ」
「これからもなのね」
「ずっとね」
「そうなのね、すみれは本当にカープ好きね」
「子供の頃からだし」
 クラスでいつもカープファンは自分一人だった、それでよく言われたがそれでもファンであり続けたのだ。
「これからもね」
「応援していくのね」
「そうするわ、ただね」
「ただ?」
「やっぱり優勝して欲しいわ」
 素直にこの気持ちも言葉に出した。
「本当にね」
「その思いはあるのね」
「それはね、どうせならね」
「それはどのチームのファンの人も思うわね」
「そうでしょ」
「お父さんは野球は興味ないけれど」
 母は自分の夫でありすみれの父である宝石商の彼の話もした。
「格闘技好きだからね」
「プロレスとかボクシングとかね」
「贔屓の人のお話よくするから」
 それでというのだ。
「本当にね」
「そうよね」
「嫌いな人のお話もするけれど」
「大阪出身のボクサーの一家ね」
「お父さんあの人達は本当に嫌いだから」
「実は私も」
 すみれはボクシングは特に興味はないがこう言った、実際に彼女はこのボクサーの一家は全員嫌いなのだ。
「あの人達は」
「下品でしょ」
「スポーツマンシップないし」
「礼儀作法も知らないし」
「教養もなさそうだし」
「知性もないしね」
「最低の人達よね」
「お猿さんみたいなお顔してるけれど」
 それでもというのだ。
「あれじゃあお猿さん以下よ」
「そうよね、お母さんもね」
「あの人達嫌いなのね」
「テレビに出したらいけない人達よ」
「子供が真似したら駄目だから」
「そう、ああした人になったらいけないってね」
「教えるならいいわよね」
「それならいいけれど」
 すみれも言うことだった。
「子供があんな人達の真似したらね」
「絶対によくないわ」
「スポーツマンじゃなくてチンピラよね」
「そうよ、小説とかじゃそんなところでしか出ないわよ」
「漫画でも」
「特撮やドラマだとすぐにやられる一般市民よ」
 その程度の存在でしかないというのだ。 
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