ドリトル先生の林檎園
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第十一幕その八
「正面から出来るとなると」
「信玄さんだけだったのね」
「名将と言われた」
「あの人だけだったのね」
「他の人には無理だったんだ」
「信長さんも正面から自分が直接戦ったことはないよ」
天下人になったこの日ともというのです。
「小田原の北条氏康さんも戦うのは避けたからね」
「あの人も強かったんだよね」
「北条氏康さんも」
「名将でね」
「あと政治もよかったんだよね」
「あの人は自分が謙信さんに勝てないと思っていたから」
だからだというのです。
「それでね」
「戦いを避けてだね」
「お城に籠ったんだね」
「そうしたんだよね」
「そうだよ」
「あの人も強かったのに」
「それだけ謙信さんが別格で」
そしてというのです。
「その謙信さんと戦えた信玄さんもね」
「別格だったんだ」
「この二人は戦いでは信長さんより上だったとされているよ」
先生はこうお話しました。
「まさにね」
「家臣の人達も揃ってたんですよね」
トミーは先生の武田家の家臣の人達のことを尋ねました。
「そうでしたね」
「うん、二十四臣といってね」
「そうでしたね」
「この人達も名将揃いでね」
「それで兵の人達も強かったから」
「武田軍は物凄く強かったんだよ」
「そうでしたね」
「そして上杉家も家臣の人達も揃っていて」
謙信さんの方もというのです。
「兵の人達も強くて」
「どちらもですね」
「凄く強くて」
だからだというのです。
「天下でね」
「最強とですね」
「なっていたんだよ」
そうだったというのです。
「両方共ね」
「そしてどちらが最強かは」
「川中島の戦いは最後まで決着がつかなかったから」
「五回やってそれでも」
「そう、四回目は激しい戦で」
そしてというのです。
「双方大きな損害を出したけれど」
「それでもですね」
「この戦いは引き分けだったしね」
「どっちが勝ったとはですか」
「武田が勝った、上杉が勝ったと言う人もいるけれど」
「先生はですね」
「多くの人が言う通りにね」
戦いの判定はというのです。
「引き分けだったと思うよ」
「そうでしたか」
「あとこの戦いで啄木鳥の戦法を信玄さんに言ってね」
「あの人川中島で戦死してますね」
「うん、この人実在を疑われていたけれど」
「実はですね」
「実在人物だったんだ」
本当にいたというのです。
「調べたらね」
「そうだったんですね」
「十勇士はモデルの人達がいたということで全員いたとね」
「あの人達はそう言えますね」
「うん、けれど山本勘助さんはね」
この人達はというのです。
「モデルじゃなくてね」
「ご本人がですね」
「実在していたんだ」
「そうだったんですね」
「武田家は親族や譜代の人が多かったけれど」
そうしたお家だったというのです。
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