恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十八話 呂布、晴れないのことその一
第七十八話 呂布、晴れないのこと
華陀はだ。再びだった。
「よし、行くか」
「そうね。まずは洛陽なのね」
「そこに行くのね」
「いや、あそこじゃない」
そこではないとだ。華陀は怪物達に答えるのだった。
「あそこよりもまずはだ」
「まずはっていうと?」
「何処に行くのかしら」
「徐州に行ってくれるだろうか」
怪物達にそこに行こうというのだ。
「そこにだ。行ってくれるか」
「徐州っていうと確か」
「劉備ちゃんの場所よね」
「ああ、そこだ」
まさにだ。そこだというのだ。
そうしてだ。そのうえでだった。華陀はこんなことも言うのだった。
「そこに用がある」
「ああ、そうね」
「そういうことなのね」
妖怪達は華陀の話からだ。すぐに察して応えた。そうしてだった。
「あの人に会ってね」
「それでなのね」
「そうだ。徐州に行ってだ」
あらためて話す彼等だった。
「あの人を連れてだ」
「そうしてなのね」
「それから」
「そう、連合軍の陣に行く」
そのうえでだ。そこに行くというのである。
「洛陽に行くのはそれからでいい」
「何ごとにも順番がある」
「わかったわ。じゃあ」
こう話してだった。彼等はだ。
まずは徐州に行った。勿論二人が華陀をそれぞれ両脇に抱えてだ。そうして空を飛んだのである。今回の速度はマッハ五であった。
徐州に着いた華陀はだ。落ち着いた顔で言うのだった。
「今回も速いな」
「そうでしょ。お空を飛んだからね」
「速いわよ」
「すぐに移動するのはやっぱりお空よ」
「そこを飛べばすぐなのよ」
「そうだな。便利な話だ」
非常に素っ気無く、何でもないといった顔の華陀だった。
「空を飛べたらな」
「そういう話だろうか」
「違うのではないのか?」
カインとグラントが二人に対して言う。同行していたのだ。
「そもそも私達も何故か一緒に空を飛んだが」
「貴殿等の背中にくくりつけられてだ」
二人が気付けばだ。そうなっていたのだ。
そしてここに来てだ、華陀達に話すのだった。
「人間は空を飛べない筈だが」
「その理屈はどうなっているのだ」
「拳法よ」
「そこに仙術を入れたのよ」
そうしたとだ。二人は平然として答えた。
「それでああしてお空を飛べるようになったの」
「わかってくれたかしら」
「人間ではないな」
「どう考えてもな」
これがカインとグラントの結論だった。二人に対するだ。
「華陀殿には感謝しているがな」
「それでもそう思う」
「ああ、あの鉛の弾のことだな」
華陀はグラントの胸を見て話す。見ればその胸は実に逞しく見事なものだ。彼はグラントのその胸を見てそのうえで話をするのだった。
「あれか」
「よく取り除いてくれた」
礼を述べたのはカインだった。
「我が友の死を救ってくれた」
「本当に有り難い」
グラントもこう言うのだった。
「俺はまだ戦えるのか」
「ああ、あんた達はあんた達の夢があるんだな」
「そうだ。まさに餓狼の街だ」
「その街を築こうと考えている」
それがだ。二人の夢だというのだ。
「人間は堕落してはならない」
「そう考えるが故に」
「俺はそれについては何も言わない」
二人のその考えについてはと返す華陀だった。
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