| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百三十七話 肝その七

「かえってよくないのかもな」
「政には」
「そうなのですか」
「だからこそ細かいところまで見られてだ」
 そしてというのだ。
「政が出来るな」
「気を引き締めていたから」
「だからですか」
「棟梁がおられないから余計にと思って」
「それ故にですか」
「そうだな、そなた達を老中にしてよかった」
 英雄は老中達にこうも言った。
「ではこれからも俺がいる時もいない時もだ」
「どの様な時もですね」
「その時もですね」
「政にあたる」
「そうすべきですね」
「そうだ、そうしてもらう」
 是非にと言うのだった。
「いいな」
「承知しました」
「これからもそうさせて頂きます」
「そしてそのうえで」
「この国をよくさせて頂きます」
「頼む、そなた達も力だ」
 英雄は老中達にこうも言った。
「この世界を救うな」
「我々もですか」
「そうなのですから」
「この世界を救う」
「そうした者ですか」
「そうだ、俺の目的は既に言っているな」
 このことは公言している、自分と仲間達がどういった者達かも。
「そして知っているな」
「この浮島を統一し」
「そしてですね」
「この世界を救う」
「海を支配する魔神を倒して」
「俺はまだ下に広がる世界は知らない」
 二つの浮島の下にある海に覆われているそこはというのだ、英雄にとってそちらは全く以て未知の世界なのだ。
「だがそれでもだ」
「それが目的である為」
「必ずですね」
「この世界を救われる」
「そうされますね」
「その考えだ、そしてだ」 
 英雄は老中達にさらに話した。
「この浮島を統一しその力を上げかつまとめる為にだ」
「我等ですか」
「我等が必要だと言って下さいますか」
「その様に」
「そういうことだ、だからこれからも頼む」
 英雄は老中達に確かな声で話した。
「いいな」
「承知しました」
「我等にとっては非常に大きいですが」
「それでもです」
「及ばずながらも」
「身を粉にして働かせて頂きます」
「そうしてもらう、それでだが」
 ここまで話してだ、英雄はまた述べた。
「東の方の動きだが」
「今のところはです」
「穏やかです」
「棟梁が西に進まれている間もです」
「こちらに何もしてきませんでした」
「東のどの勢力も」
 老中達は英雄に慎んだ態度で答えた。
「兵を伊勢と尾張の境や近江と美濃の境、越前と加賀の境に集めてです」
「城にも備えをしていましたが」
「それでもです」
「何処も仕掛けてきませんでした」
「国境は穏やかでした」
「それも至って」
「そうか、攻めて来るかもと思ったが」 
 こちらが兵を多く動かしている時にこそとだ、英雄は東の諸勢力がそうしてくるかもとも考えていたのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧