ヘタリア大帝国
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TURN29 開戦前夜その十
「ドクツ軍に勝てるから」
「じゃあ答え出てるじゃない」
「それでもあいつと会うのは嫌なの」
カテーリンは今は頬を膨らませてきている。その頬が赤くなっている。
「あいつ変態だから嫌いなの」
「じゃあ僕が一緒に行って会おうよ」
ロシアはカテーリンをそっと庇ってきた。
「そうしよう。それでどうかな」
「祖国君が?」
「うん、だったら安心できると思うから」
「そうね。それじゃあ」
カテーリンもだった。彼のその言葉に頷く。
ようやく落ち着いた顔になりだ。こう言った。
「じゃあ一緒に来てね。あいつのところに」
「うん、それじゃあね」
「祖国君がいてくれたら」
どうかというのだ。カテーリンも。
「安心できるから」
「そう言ってくれるんだ」
「だって。私の祖国だから」
だから安心できるというのだ。カテーリンにしても。
「安心できない筈ないじゃない」
「そう言ってもらえると僕も嬉しいよ」
「それじゃあね」
ここでだ。カテーリンはミーシャとそのロシアに言った。
「四国からクローンを手に入れて」
「うん、それでね」
「ニガヨモギも使える様にしようね」
ソビエトは彼等の切り札を手に入れようとしていた。彼等も手を打っていた。
開戦の時が迫ろうとしているその中でだ。アメリカはというと。
ハルゼーと共にカナダを訪問していた。だが、だった。
アメリカは首を捻りながらだ。こうハルゼーに言うのだった。
「カナダとは付き合いが深い筈なんだがな」
「祖国さんが幼い頃からの関係でしたね」
「そうだぞ。だがな」
「印象は薄いですか」
「そうなんだ。どういった奴だったかな」
付き合いの長いアメリカでもだ。カナダについてはこうだった。
「覚えてないな」
「実は私も」
「そうか。君もか」
「カナダと言われましても」
ハルゼーは微妙な顔になりそのうえでアメリカに答える。
「どうも」
「何故こんなに影が薄いんだ?」
「華がないからだと思います」
ハルゼはー的確だが残酷な事実を指摘した。
「それ故にですね」
「そうか。カナダは華がないのか」
「その辺りは祖国さんや長官とは違いますね」
「ダグラスか。彼は華があるな」
これはアメリカから見てもだった。誰に映画スターではなかった。
「それもかなりな」
「そうですね。国家も目立てなければ」
「意味がないか」
「そう思います」
「そうか。国家もだな」
アメリカはハルゼーのその話に心から納得した。そうした話をしながらだった。
今はカナダ原住民のコロニーを見回っていた。そこは森の多い場所だった。
その中にいてだ。彼はハルゼーにこう言った。
「カナダには森が多いな」
「ですね。そしてこのコロニーにです」
「ドロシーが研究所を置いているぞ」
「カナダさんに認めてもらいました」
「認めてもらったのかい?」
「気付けばカナダさんはサインをしていたそうです」
ドロシーも気付かなかったのだ。カナダの存在に。
「ノイマン嬢から見てもカナダさんの影は薄い様です」
「やれやれだな。しかしカナダも連合国の一員らしいぞ」
「えっ、そうだったのですか?」
そう言われてだ。ハルゼーはというと。
彼女が滅多に見せない心から驚いた顔でだ。こうアメリカに問い返した。
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