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ヘタリア大帝国

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TURN29 開戦前夜その七

 また横目を使った。フランスをちらりと見てこう尋ねたのだった。
「どう思うんだい?」
「ちょっとな。この展開はな」
「祖国さんも予想してなかったみたいだね」
「知ってると思うがオフランス系の国民の中にはあんた達と折り合いの悪いのもいるからな」
「ああ、そうだね」
「だからな。舞踏会っていってもな」
「今までそんなのに出たことなかったよ」
 ビルメにとっては縁のないことだった。それも全く。
「だからこんな話を振られてもね」
「困るっていうんだな」
「その通りだよ」
 こうフランスに囁くのだった。
「意外過ぎる展開だよ」
「俺もだよ。けれどな」
「祖国さんは賛成なんだね」
「確かに悪いアイディアじゃないな」
 シャルロットが自分で言う様にだ。そうだというのだ。
「じゃあいいか。舞踏会やるか」
「そうだね。ただね」
「ん?ドレスなら貸すぜ」
「違うよ。セーシェルさんはいいとしてね」
 ビルメは今度はフランス自身に対して言うのだった。
「祖国さん、あんたまた裸にならないだろうね」
「おい、言うのはそれかよ」
「あんた何かあったら絶対に裸になって暴れるからね」
 何度も前科があった。それがフランスだ。
「エイプリルフールとかクリスマスの度に無茶苦茶やってるだろ」
「よく知ってるな」
「祖国のことだからね」
 だから知らない筈がないというのだ。
「全く。困った祖国さんだよ」
「だから俺本当にぼろくそだな」
「言われる様なことするからだよ。けれどね」
「舞踏会自体はいいんだな」
「誘われたら乗るのが礼儀だよ」
 だからいいとだ。ビルメも誘いに乗ることにした。
 こうしてシャルロットの提案でオフランスの面々とパルコ族の共同の舞踏会が行われた。だがフランスは裸になりそうになったところで妹とセーシェル、ビルメに括られて動けなくなった。オフランスの面々はこんな感じだった。
 ガメリカでは四姉妹達がアメリカ妹にこう話していた。いつもの定例会議ではなく昼食を一緒に食べた後の憩いの時間を使ってだった。
 ハンナはコーヒーカップを片手にアメリカ妹に言った。
「これで全て手は打ったわ」
「後は日本が宣戦布告してくるだけだね」
「ええ。まずはハワイまで戦線は縮小することになるわ」
 そのことも既に織り込み済みだというのだ。
「そして最低でもベトナムまでは彼等が『解放』してくれるわ」
「あの辺りの国が全部エイリスから独立するんだね」
「それからよ。日本帝国の戦力が限界に達したところで」
 まさにだ。その時にだというのだ。
「反撃に出て一気に潰すわ」
「で、後は日本はソビエトとの一騎打ちよ」 
 キャロルは実に勝手に日本の戦略を決めていた。
「精々殺し合ってもらえばいいわね」
「ええ。ガメリカの最大の敵は共有主義だから」
 クーもここで言う。
「日本とは戦いになってもそれでも」
「完全に叩くことはしないわ」
 ハンナは頭の中でこれからの戦略を描いていた。ガメリカの戦略を。
「まあ日本が余力を残した状況で降伏させてね」
「それでそのうえで」
「ソビエトとの最前線を受け持ってもらうわ」
 ハンナはクーにも述べた。
「そしてその間に私達は」
「独立した東南アジアやオセアニアの連中も入れてだね」
「ええ。中帝国と組んで太平洋経済圏を作るわ」
 ハンナはまたアメリカ妹に話した。
「そういうことでいいわね」
「いいよ。まあ日本には恨みはないけれどね」
「あたしはあるけれどね」
 キャロルはむっとした顔でアメリカ妹にこう言った。
「あの東郷にはね」
「そうね。お陰でね」
 ハンナもキャロルの今の言葉には微妙な顔になる。
 そしてそのうえでだ。こう言うのだった。
「あの人がいなくなったから」
「そうよ。あの長官には思い知らせてやるんだからな」
 キャロルはいささか子供じみた感じになっていた。
「本当にね。どうしてやろうかしら」
「まあ引っぱたく位でいいんじゃない?」
 アメリカ妹はそんなキャロルの横に来てだった。
 
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