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レーヴァティン

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第百三十七話 肝その六

「そうした地域を攻めていく」
「そうしますか」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「関東にするか」
「もうそこまで考えているでござるか」
「東海と北陸を同時に攻めることも出来るな」
「我々の勢力ですと」
 実際にとだ、紅葉が答えた。
「それも可能です」
「そうだな、そこもだ」
「考えていきますか」
「大坂に戻ってからな」
 その時にというのだ。
「じっくり話すか、内をしながらな」
「西国全体の」
「そしてだ」
「内政が整えば」
「東国だ」
 そちらを攻めるというのだ。
「そえでいいな」
「わかりました」
 こうしたことを話してだった、英雄は軍勢を率いて薩摩から筑前の福岡城に戻った。そうしてそこでだった。
 九州の仕置き、つまり戦後処理を収めてだった。そのうえで。
 軍勢を一旦それぞれの国に戻させてそれから関西の軍勢を仲間達と率いてだった。船で大坂に戻った。
 そして大坂に着くとだった。
 英雄はすぐに政にかかったがここでだった。
 留守を預かり内政を任せていた老中達の自分達が留守の間の政を見てその老中達に対して強い声で言った。
「まさかだ」
「何か不都合がありましたか」
「我々の政に」
「違う、予想以上にだ」
 自分達に不始末があったかと不安になる彼等に述べた。
「出来ている」
「左様ですか」
「そうでしたか」
「我々の政は出来ていますか」
「そうなのですか」
「善政をだ」
 こう言っていい政をというのだ。
「領国全体に敷いているな」
「棟梁の留守を預かっていましたので」
「我等もそれならと思いまして」
「気を引き締めて政にあたっていました」
「そうしましたが」
「田畑も街もよくなっている」
 そうしてというのだ。
「そして橋や堤もな」
「はい、そういったものもです」
「整えていました」
「悪い場所を見て」
 そしてというのだ。
「その都度なおしてきましたが」
「それがよかったですね」
「本当に」
「これならだ」
 英雄は老中達にさらに話した。
「俺がまた出陣する時もだ」
「その時もですか」
「我等にですか」
「留守を預けられる、そして攻めはしなかったが」
 東の方をというのだ。
「よく守ってくれた」
「やはり何かあってはいけないと思い」
「棟梁が留守の間は」
「それで守っていましたが」
「それがですか」
「よかった、だがそなた達はあまり自信がないか」 
 英雄は彼等の態度にそれを見て指摘した。
「そうなのか」
「そういう訳でもないですが」
「やはり留守こそと思い」
「何かと気を引き締めていました」
「粗相がない様にと」
「そうか、だがそれ位でないとな」 
 どうにもと言うのだった、ここで。 
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