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ヘタリア大帝国

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TURN27 人類統合組織ソビエトその四

「共有主義の下にね」
「けれどロシアさん怖いですから多分イタリア君達とはお友達になれないですよね」
 ラトビアはまたしてもにこりとして無意識に言わなくていいことを言ってしまった。
「イタリア君もロマーノ君もロシアさん怖がってますから」
「・・・・・・・・・」
 ロシアはラトビアのその言葉を受けて無表情でだ。
 今度はラトビアを担いでアルゼンチンバックブリーカーを仕掛ける。ラトビアの背骨が嫌な音を立てる。
「ぎゃああああああああああああ!!」
「ラトビアアアアアーーーーーーーーーッ!!」
 それを見てまた叫ぶエストニアだった。そんなやり取りの後でだ。
 ロシア達はカテーリンがいるクレムリン、かつてはロシア帝国の主ロマノフ家の宮殿だったその赤い巨大な宮殿に来た。見事な貴族風の装飾や芸術品で飾られている。
 彼等がその赤い宮殿に入るとだ。早速出迎えが来た。それは。
  黒がかった紫の長い髪、眼鏡の奥には鳶色の知的な輝きを放つ目を持っている。まるで学校の教師を思わせる知的な、だがそれでいて極めて冷徹な輝きを放つ美貌を見せている。
 豊満な胸に見事な腰とくびれた腹を持つ身体を赤のソビエトの軍服と黒い膝までのスカート、黒いストッキングで覆っている。その手には赤く分厚いソビエトで常に読まれている赤本がある。ソビエトの恐怖の象徴である秘密警察長官ミール=ゲーペだ。
 その彼女がロシア達の前に来てだ。ソビエトの敬礼をしてからロシア達に言った。
「諸君、よく来てくれた」
「うん、間に合ったかな」
「充分だ。だが」
 ここでだ。ゲーペは泣いていてエストニアに慰められているラトビアを見てこう言うのだった。
「ラトビア君はまたか」
「うう、またじゃないです」
「祖国君におかしなことは言わないことだ」
 こう言ってラトビアを注意するのだった。
「さもないと何時か再起不能になるぞ」
「自分でもそう思います」
「我等の祖国君の力は全ての国の中で第一だ」
 とにかく力の強さは凄いロシアだった。
「体力、生命力、回復力もそうだがな」
「あれっ、僕ってそんなにタフかな」
「この三つがあればあらゆることがどうとでもなる」
 ゲーぺはそのロシアに対して断言した。
「そして共有主義だが」
「いい考えだよね」
「工作は続けている」
 ゲーペは冷徹な響きの声で言った。
「各国にな」
「ポスターは貼ってるんですね」
 ウクライナがゲーペに問うた。
「それは」
「無論だ。あの素晴しいポスターを常に各国に貼っていっている」
「階級も貧富の差もない。そして差別もない」
「移民を募集している。そのポスターをな」
「実際今かなりの人が移民してきていますね」
 ウクライナも言う。
「このソビエトに」
「実にいいことだ。世界は間も無く共有主義で統一される」
 ゲーペは教師の様な口調で断言した。
「そして真の意味で素晴しい世界になるのだ」
「そうだよね。じゃあ今から」
「カテーリン主席の定期報告だ」
「僕達もいつもの場所で参列だね」
「案内させてもらう」
 ゲーペは自分からこう申し出た。
「会場にな」
「場所わかってるけれど?」
「いいのだ。私からの好意と思っていてくれ」
 ゲーペはこう言うだけだった。表情を変えずにだ。
「何しろソビエトを構成してくれる国家達だからな」
「妹はどうしてるかな」
「カテーリン主席、ミーシャ首相と同席している」
 ロシア妹はそこにいるというのだ。
「妹君も参列してくれる。安心してくれ」
「いや、心配はしていないけれどね」
 生真面目で冷徹な感じのゲーペとやり取りをしてそのうえでだった。ロシア達は赤い宮殿の中を進んでいく。見れば装飾はあってもそれは多くが取り払われ質素な感じになっている。 
 そして廊下の壁には小学校のそれを思わせる様なポスターにスローガンを掲げた言葉にだ。希望に燃える人民達が描かれた絵画等が飾られている。他には廊下は走らない、手洗いを忘れない、挨拶をしっかりといった標語が書かれている。そうしたものを見てだ。ベラルーシはこう言った。
 
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