ヘタリア大帝国
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TURN26 親衛隊その五
「ふむ。これは」
「中々だな」
用意された観戦の場にはレーティアにグレシア、それにドイツがいる。ドイツはそこからレーティアにこう言った。
「動きはいい」
「それに攻撃のポイントも的確だ」
「統率も取れている」
「いい感じだな」
レーティアは鋭い目で状況を見ながら話す。
「予想以上だ」
「そうね。正規軍とも引けは取らないわ」
グレシアもだ。親衛隊の動きを見ながら言う。
「それは間違いないわね」
「そうだな。動きは問題ない」
「どうやら親衛隊は元軍人の隊員も多いわね」
グレシアは己の席の上に置かれているパンフレットを見ながら言う。
「彼等の指揮故ね」
「そうだな。軍事訓練もかなり行っていたか」
「ええ、問題はないわ」
こう言うのだった。
「軍としてはね」
「決めた。これなら問題ない」
レーティアは確かな顔で決断を下した。
「親衛隊は正規軍に組み入れる」
「そうするのね」
「そしてその隊長はヒムラーだ」
ヒムラーの採用も今決めたのだった。
「そうする。それではな」
「これでバルバロッサ作戦の戦力は手に入れたか」
ドイツはここでは参謀的なポジションで述べた。
「いいことではある」
「そうだ。ソビエトとの戦いには我が国の命運がかかっている」
生存圏の確保、そして強敵の排除という意味で。
「だからだ。今こそだ」
「それならだな」
「ドクツ軍に組み入れてそのうえで作戦計画を立てていく」
北アフリカに向かったロンメルの穴埋めでだというのだ。
「ではな。全ては決めた」
「わかったわ。けれどね」
それでもだとだ。ここでもだった。
グレシアはヒムラーには怪しいものを感じていた。その疑念は拭えなかった。
だがレーティアは親衛隊の訓練も見て決めた。親衛隊、そしてその隊長であるヒムラーはドクツ軍に正式に編入された。ヒムラーにとってはいいことだった。
そのうえでロンメルにだ。笑顔で握手をしてからこう言ったのだ。
「有り難う、君のお陰だよ」
「いいさ。ではこれから頼むな」
「そうさせてもらうよ。ソビエトとの戦いだね」
「かなり厄介な相手だ。しかし君と親衛隊の戦いを見ればだ」
「大丈夫だっていうんだね」
「安心できる。ドクツを、総統を頼む」
ロンメルは心から微笑んでヒムラーに言葉を返した。
「それではな」
「うん、ではね」
「俺はすぐに北アフリカに帰る」
己の務めの場所に戻るというのだ。
「そこもすぐに忙しくなるだろう」
「エイリス軍だね。モンゴメリーは手強いからな」
「全くだ。しかし相手に不足はない」
ロンメルはその顔に不敵なものも見せた。笑みに含ませたのだ。
「勝って来る。ではソビエトとエイリスに勝ってから」
「乾杯といこうか」
「その時にな」
同期として話をし別れた二人だった。そのうえでだった。
ヒムラーは一人になるとすぐにだ。ベルリンのある場所にム方。
そこは地下だった。彼は暗い階段を降りていく。そこはかなり長かった。
異様なまでに長いその階段を降りて階に着くとだ。暗い中からだ。彼に声達が問うてきた。
「ヒムラー様、どうだったでしょうか」
「ドクツに入ることができたでしょうか」
「親衛隊は」
「ああ、できたよ」
闇の中で含んだ笑みを浮べてだ。ヒムラーは闇の中の声達に答えた。
そしてそのうえで手袋を脱いだ。すると。
右手には何もない。だが左手には。
その甲に赤い石があった。その石を見ながらだ。彼は言うのだった。
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