| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

戦国異伝供書

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第七十一話 黄色から紺色へその六

「左様ですな」
「穏やかな時もそうである」
「ましてや戦国の世なら」
「余計にじゃ、民もな」
「武なくしてはですな」
「護れぬ、わしはその武をじゃ」
 まさにそれをというのだ。
「浅井家に備えさせたい」
「ではです」
 阿閉貞征が言ってきた、大きな目を持ち後頭部が随分と大きい。
「猿夜叉様はこれからもです」
「武芸を兵法をじゃな」
「学ばれて、そして兵達も」
「鍛えるべきじゃな」
「鍛錬で。一万も鍛えてです」
 そうしてというのだ。
「一人一人が一騎当千となれば」
「負けぬな」
「六角家や斎藤家にも、そして」
「天下のどの者にもな」
「滅ぼせなくなり」
 そしてというのだ。
「頼られましょう」
「そうじゃな、ではな」
「その時に備えて」
「わしも精進してな」
「兵達もですな」
「鍛えていこう、そして領内のこともな」
 猿夜叉はこちらの話もした。
「よくわかっていよう」
「戦を有利に進める為に」
「そうじゃ」
 まさにとだ、猿夜叉は阿閉に答えた。
「だからな」
「では領内をよく巡られて下され」
 僧侶だった、宮部継潤だ。
「そうしてです」
「それぞれの地を見てじゃな」
「どうした場所かおわかり下さい、そして」
「領内を巡ればな」
「政にも活かすことが出来ます」
「どの場所をどう治めるべきかな」
「わかりますので。この近江の北もそれなりに豊かです」
「琵琶湖の水が豊かでな」
「はい、琵琶湖がよき水をもたらしてくれて」
 そしてというのだ。
「よい田畑をもたらしてくれて」
「魚等もな」
「もたらしてくれます、そして西の道は」
「若狭、北陸と都を繋いでおってな」
「古来より人の行き来があり」
「戦国の世でもな」
「それがありますので」
 だからだというのだ。
「西の道も豊かであり」
「東もな」
「東海と北陸を結ぶ道で」
「やはりな」
「金をもたらしてくれます、関を置き」
 宮部はこちらの話もした。
「そこから銭を取れば」
「やはり利になるな」
「また人の行き来があるので街も栄えやすいので」
「そちらもじゃな」
「賑やかにしていきましょう」
「それではな」
「はい、それでは」
 宮部は猿夜叉にさらに話した。
「近江の北の至る場所も」
「巡っていく」
「我等もお供します」
「ただ陸の路を進むより琵琶湖を船で行き来すれば」
 近江の者としてだった、猿夜叉はこの湖のことをさらに話した。
「そうすればな」
「行き来が楽ですな」
「うむ、だからな」
 それ故にというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧