| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百三十六話 鹿児島攻めその十

「それ自体がじゃな」
「避けたい」
「鹿児島の街を傷付けたくないのう」
「出来る限りな」
「ならじゃ」
「使者を送る」
 このことはもう決まっているというのだ。
「問題はその使者だが」
「ならじゃ」
 ここで当季は言った。
「おまんが行くか」
「俺がか」
「そうじゃ、総大将であるおまん自身が行けばな」
 それでというのだ。
「頑固で戦好きな薩摩隼人でもじゃ」
「降るか」
「そうなるわ、ああした連中はじゃ」
「肝だな」
「相手のそれを見るきにのう」
「俺がそれを見せるとか」
「従うかも知れん」
 こう英雄に話した。
「そうでないかも知れんが」
「だが降る可能性は増えるな」
「可能性が高い方がいいのう」
「確かにな」
「やってみるんじゃな」
「この世界で俺を倒せる者はいない」
 敵の本拠地に乗り込む、即ち何時切られるかはわからない。そうした死地に乗り込んでもそうしてもというのだ。
「一人もな」
「おまんは強い、しかも」
「術が使えてな」
「そしてじゃな」
「これもある」
 腰にある天羽々斬を見ての言葉だ。
「だからな」
「誰もじゃのう」
「俺を倒せはしない、毒を盛ろうにもな」
「毒を消す術も使えるのう」
「術にはそうした使い方もある」
 今話が出たそちらもというのだ。
「だからな」
「何があろうともじゃな」
「心配は無用だ」
 まさにという言葉だった。
「俺についてはな」
「そうじゃな、ほなのう」
「行って来る」
「わかったぜよ」
 当季は英雄の言葉に頷いた、だが。
 その中でだ、紅葉が言ってきた。
「お一人だけで行かれることは」
「用心の必要はなくともか」
「一つの勢力の棟梁としてです」
「格があるか」
「はい、この世界に来て考えましたが」
 そのうえでの言葉であるというのだ。
「やはりそれなりの勢力の主になりますと」
「使者に赴くにもか」
「格式がありますので」
「一人で行くことはない、か」
「はい、ですから」
 それでというのだ。
「この度はです」
「供を連れて行くべきか」
「何人か」
「そうだな、それに交渉となるとな」
 降るそれを行うにあたってもとだ、英雄は紅葉に応えて話した。
「俺はどうも硬い」
「その話し方にしても」
「そうだな、だから俺の他にな」
「交渉を行ってくれる人をですね」
「釣れて行く必要もある」
「では」
「来てくれるか」
 英雄は当季を見て彼に声をかけた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧